最新記事

アフガニスタン

タリバンの心配は米軍増派にあらず

2009年12月4日(金)13時21分
ロン・モロー(イスラマバード支局)

 オバマ米大統領のアフガニスタン新戦略には、駐留米軍の増派が含まれている。だがタリバン幹部は本誌に対し、タリバンは今やアフガニスタン全土でゲリラ活動を展開しており、米軍増派はそれほど深刻な脅威ではない、と語った。

 彼らがもっと懸念しているのは、ムハマド・オマルら最高幹部の身の安全だ。アメリカはパキスタン側の国境地帯で、彼らを狙った無人機や特殊部隊による攻撃を繰り返している。

 その結果、タリバンの幹部たちはアフガニスタンと国境を接するパキスタンのバルチスタン州などから港湾都市カラチへと移住し始めている。カラチならアメリカの攻撃の手も及ばないからだ。タリバン工作員のザビフラ(過去の実績から信頼できる情報筋だ)によれば、最近ではバルチスタンの州都クエッタよりもカラチを拠点とする幹部のほうが多い可能性があるという。

 オマルがクエッタからカラチに移住したとの報道もあるが、ザビフラはこの件については確認が取れていないと言う。とはいえカラチにはオマルの1人目の妻や家族が暮らしており、彼にとってなじみのない土地ではない。

 パシュトゥン人が多く暮らすカラチは、同じ民族であるタリバンにとっては居心地がいい町だ。ザビフラをはじめとする複数の情報筋によれば、タリバンの工作員や支持者のなかには、この地で合法的な事業を営み、かなりの利益を上げている者もいるという。

 パキスタン政府発行の身分証を持ち(偽造の場合も)、公共サービスを利用している者もいる。目立たないように暮らし、武力闘争を扇動することもない。 「カラチはわれわれにとって最も安全な場所だ」と、ザビフラは言う。「今後もそれを維持していきたい」

[2009年12月 9日号掲載]

ニュース速報

ワールド

ブラジルのボルソナロ大統領、新型コロナに感染

ワールド

米、コロナワクチン開発でノババックスに16億ドル提

ワールド

TikTok含む中国アプリの禁止を検討─米国務長官

ワールド

英GSK、コロナワクチン開発でメディカゴと提携 田

MAGAZINE

特集:香港の挽歌

2020-7・14号(7/ 7発売)

国家安全法で香港の自由と繁栄は終わり? 中国の次の狙いと民主派を待つ運命

人気ランキング

  • 1

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 2

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 3

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは

  • 4

    火星の移住に必要な人数は何人だろうか? 数学モデ…

  • 5

    習近平はなぜ香港国家安全維持法を急いだのか?

  • 6

    新型コロナ、血液型によって重症化に差が出るとの研究…

  • 7

    「県境をまたぐ移動自粛、一律要請の必要ない」 東京…

  • 8

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪…

  • 9

    中国人民解放軍、インドとの国境係争地から撤退開始…

  • 10

    プーチン終身大統領に道を開いたロシア「全国投票」…

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようやくプロセスが明らかに

  • 4

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 5

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求…

  • 6

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 7

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪…

  • 8

    英首相ジョンソン、香港市民の英市民権取得を確約 中…

  • 9

    スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まって…

  • 10

    東京都、3日の新型コロナ新規感染は124人 小池知事「…

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 4

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 5

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 6

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 7

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求…

  • 8

    ポスト安倍レースで石破氏に勢い 二階幹事長が支持…

  • 9

    自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされ…

  • 10

    宇宙に関する「最も恐ろしいこと」は何? 米投稿サ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月