最新記事

中東

ビンラディンに推薦されたわが著書

2009年9月17日(木)20時28分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学教授)

米イスラエル関係を「正常化」せよ

 これに対してミアシャイマー教授と私は、ビンラディンの目標を否定し、彼の選んだ手段を唾棄すべきものだと考える。

 アメリカはイスラエルの存在を守るべきだというのがわれわれの考えだし、本のなかでも繰り返しそう主張した(ビンラディンはこの部分を読み落としたのだろう)。

 その一方でわれわれは、アメリカはイスラエルによるヨルダン川西岸の占領やガザ地区の支配に反対し、イスラエルを他の民主国家と同じように扱うべきだと考える。

 なぜか? 占領をやめさせて、米イスラエル関係を正常化することが、アメリカにとってもイスラエルにとっても、そして中東の友好国にとっても利益になるからだ。

 要するにわれわれは、アメリカに今よりも賢く倫理的な中東政策を採ってもらいたい。言うまでもなく、これとビンラディンの血に染まった目標との間には大きな隔たりがある。

 われわれの本に「推薦の辞」を寄せるなんて、ビンラディンにとっては自己破壊的な行為と言えなくもない。もし多くの人々がこの本を読み、米政府がわれわれの言うような政策を推進していれば、武力闘争を呼びかけるビンラディンの声に耳を傾ける人はいなかったかもしれないからだ。

Reprinted with permission from Stephen M. Walt's blog ,17/9/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン議会、IAEAとの協力停止法案承認 査察など

ワールド

トランプ氏、イラン攻撃の成果誇示 核開発数十年遅ら

ワールド

IAEA事務局長、イラン核施設への査察再開が最優先

ビジネス

フジ株主総会、会社提案の取締役11人全員承認 ファ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 4
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 5
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 6
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 7
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 8
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 9
    「温暖化だけじゃない」 スイス・ブラッテン村を破壊し…
  • 10
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中