最新記事

がん治療

「代替療法で治る」に騙されてはいけない...科学的根拠ゼロの「がん治療体験」をセレブが広める問題

Treating Breast Cancer

2024年12月04日(水)17時35分
アリス・コリンズ
乳房切除の傷痕を見せるオリオーダン DR. LIZ O'RIORDAN

乳房切除の傷痕を見せるオリオーダン DR. LIZ O'RIORDAN/JENNY SMITH

<「失敗例には全く触れない」「とても腹が立つ」...すがりたい気持ちに付け込む、ちまたにあふれる、科学的根拠のないがんの代替治療について乳癌サバイバーの医師がメスを入れる>

イギリス在住のリズ・オリオーダン(50)は乳癌の治療法に詳しい。元乳腺外科顧問医師で、彼女自身2015年に乳癌と診断され、闘病を続けてきた。

乳房切除手術、抗癌剤や放射線、ホルモン阻害薬による治療。いずれも確実に信頼できる方法だが、代替療法を試したがる患者が増えているという。

今年9月にはオーストラリア出身のモデル、エル・マクファーソン(60)が、17年に乳癌と診断され、抗癌剤などを使わないホリスティック療法を選んだことを公表。元MTV司会者アナンダ・ルイス(51)もこの10月、18年にステージ3の乳癌と診断されたが乳房切除手術を拒否したことを明かした(その後、癌はステージ4に進行)。


こうした補完・代替医療(CAM)の利用は1970年代の約25%から2000年以降は49%と、近年増加傾向にある。昨年のある調査では、癌患者の52%がCAMを利用、5%がCAMを優先して従来型の治療を後回しにしていた。

オリオーダンは癌と診断されたのを機にオンラインでCAMについて調べ、誤った情報の多さにぞっとしたという。

「主流派の医師なら絶対に治るなんて言えないが、代替療法や(自然治癒力を高めるという)ホメオパシー療法の医師の中には治ると請け合う者もいる」とオリオーダンは言う。「私は再発予防のための治療を拒否する患者にてこずった経験がある。理解できず、とても腹が立った」

「女性たちにもっと良識ある情報を提供したくて乳癌のガイドブックを書いた」と言うオリオーダンは、特に人気の代替療法の嘘を著書『The Complete Guide to Breast Cancer(乳がん完全ガイド)』で暴いている。その一部を紹介しよう。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相が退陣表明、米関税で区切り 複数の後任候補

ワールド

石破首相が辞任表明、米大統領令「一つの区切り」 総

ワールド

インドは中国に奪われず、トランプ氏が発言修正

ワールド

26年G20サミット、トランプ氏の米ゴルフ場で開催
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    話題の脂肪燃焼トレーニング「HIIT(ヒット)」は、心…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    話題の脂肪燃焼トレーニング「HIIT(ヒット)」は、心…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:豪ワーホリ残酷物語

特集:豪ワーホリ残酷物語

2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は