最新記事

映画

私の体のことは私が決める...「中絶する権利」を求め闘った女性たちの団体「ジェーン」の「埋もれた歴史」

To Normalize Abortion

2024年03月27日(水)15時00分
ロクシー・サイモンズ(本誌テレビ/映画担当)

newsweekjp_20240327035209.jpg

問題はいまだになくなっていないとナジーは訴える ©2022 VINTAGE PARK, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

教わらなかった歴史

「ジェーン」はシカゴの活動家たちの団体で、違法だが安全な中絶手術を女性たちに手頃な料金で提供した。

脚本のヘイリー・ショアとロシャン・セティは、ショアの母親の友人で「ジェーン」の創設メンバーのジュディス・アーカナを通して「ジェーン」の活動を知った。ショアはアーカナにたびたび会って「ジェーン」の当時の活動内容について話し合い、セティと共に最終版までに28本の草稿を書いたという。

ナジーは本作を監督するまで「ジェーン」についてよく知らなかったが、すぐにこの物語に光を当てることがいかに重要かに気付いたという。

「アメリカの女性たちの勇気ある行動の歴史を知らないようなもの。私たちはこの歴史を教わっていない。陰に埋もれがちな集団やマイノリティーの集団の歴史の大半は、支配階級など主導権を握っている集団が決めると言っていいだろう」

本作に登場するのは架空の人物だが、実在の「ジェーン」のさまざまな部分を象徴しているとナジーは言う。

「実際の『ジェーン』内部に序列はなかった。映画ではリーダーが必要だったのでシガニー・ウィーバーが登場する。そしてエリザベス・バンクスが演じる主人公は『ジェーン』の初期、自分たちで中絶手術を行うようになる前の依頼人たちの代表だ」

「自分たちで行うようになると、中絶費用を前金で全額支払わなくて済むようになり、それが手術を依頼した女性たちから法外な手術代を払えないほかの女性たちにも口コミで伝わっていった。68年の600ドルといえば誰にとっても大金、まして貧しい女性には工面できるわけがない。そういう部分はリアルだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・ウクライナ鉱物協定「完全な経済協力」、対ロ交渉

ビジネス

トムソン・ロイター、25年ガイダンスを再確認 第1

ワールド

3日に予定の米イラン第4回核協議、来週まで延期の公

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    タンポンに有害物質が含まれている...鉛やヒ素を研究…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語