最新記事

起業

「天職はブライズメイド」──結婚式から「出会いと人生」を学ぶ、この素敵な仕事について

“I’m a Professional Bridesmaid”

2023年05月19日(金)12時48分
ジェン・グランツ(起業家)
ジェン・グランツ

顧客の「人生最良の日」を支えるソフトスキルが重要だと語るグランツ(写真中央、正面向き) YANA PASKOVAーTHE WASHINGTON POST/GETTY IMAGES

<「うまくやれるからだよ」というルームメイトの後押しで経験をビジネスに。結婚式のドタキャンや喧嘩など醜い人間ドラマがあっても、やめられない訳とは?>

ブライズメイド(花嫁付添人)を初めて務めたのは22歳のとき。20代半ばになるまでには友達のほぼ全員が結婚し、私のブライズメイド歴は12回に達しようとしていた。

2014年6月のある夜、そこまで親しくない友人2人から、ブライズメイドになってほしいと立て続けに頼まれた。「どうしていつも私なの?」とルームメイトに愚痴をこぼしたら、こう言われた。

「うまくやれるからだよ」

それなら他人のブライズメイドもできるのでは? そうひらめいて、オンライン広告を出してみることにした。

2日後には、ブライズメイドを雇うことに関心があるというメールが300件以上届いていた。これはビジネスになるかもしれないと思った。

当時、事業経験はなかった。大学で詩を専攻した後、コピーライターとして働いていたが、おかげで文章を読んで、求めているものを把握するスキルが身に付いていた。

すぐにブライズメイドサービスのウェブサイトを開設し、その1週間後に最初のクライアントに出会った。ミネソタ州在住のアシュリーだ。

もらったメールには、数年前に母親を亡くしたと書かれていた。ブライズメイドを頼んだ親友が嫉妬して、結婚式を妨害しようとしたという。同じ女性として頼れる仲間がアシュリーには少なかった。

強烈な孤独を感じる体験は誰もがしている。だから、彼女のメールに心を動かされた。

14年9月、私はミネソタへ行った。結婚式前夜はアシュリーと遅くまで語り合い、当日の朝は友達の場合と同じように花嫁を起こし、ヘアメークに立ち合い、ドレスの着付けを手伝った。

トラブルも解決した。8年以上がたった今も、アシュリーとは連絡を取り合う仲だ。オーストラリア在住の男性2人から依頼を受けたこともある。

当時、オーストラリアは同性婚を認めておらず、彼らは結婚するために私の住むニューヨークへやって来た。とても素敵な人たちで、忘れられない体験をした。彼らとも、今も連絡を取っている。

華やかそうに見えるが

この仕事をするうちに、私を雇う人は2つの種類に分かれると気付いた。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「高慢な態度に失望」...エリザベス女王とヘンリー王…

  • 2

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃はイギリスで、キャサリン妃との関係修復…

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    「高慢な態度に失望」...エリザベス女王とヘンリー王…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が尊敬する日本の小説36

特集:世界が尊敬する日本の小説36

2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは