最新記事

ヘルス

生まれつき膣のない女性に魚の皮で「新しい膣」 人生初のセックスは「上手くいった」!

2018年6月6日(水)18時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

metro news ht/YouTubeより

<子宮と腟の一部もしくは全部が欠損して生まれる先天性の疾患、ロキタンスキー症候群。たくさん泣いた少女はついにヘルシーなセックスライフを手に入れた>

ブラジルに住む23歳のJucilene Marinhoの膣管は、淡水魚ティラピアの皮でできている。

彼女は、ロキタンスキー症候群(MRKH)患者だ。先天的な原因により、女性生殖器の一部もしくは全体が欠損する腟欠損症の一種で、約5000人に1人の割合(メトロ紙)で発症するといわれる。

そんな彼女は昨年、革新的な手術を受けた。ブラジル北東部で行われた「新・膣形成術」は、膣と肛門の間に作られたスペースに、淡水魚の皮で覆われたチューブの管を挿入する。試験段階の術式だったが、Marinhoは希望を抱いて手術に踏み切った。英ザ ・サン紙ミラー紙など複数メディアが報じた。

こうして「新しい膣」は出来上がった

手術を執刀したアシス・シャトーブリアン・マタニティ・スクール (MEAC)の婦人科医、レオナルド・ベゼラによると、3年前からティラピアの皮を火傷の治療に使っていたという。

通常は廃棄物になるティラピアの皮だが、水分量が多く、回復を促すコラーゲンタイプ Ⅰとプロテインを豊富に含む研究結果がある。加えて、病気への抵抗力があり、人間の皮膚と同じように丈夫で、張りがある。そこからヒントを得て、応用することに決めた。

「新しい膣」の仕組みはこうだ。膀胱と直腸の間にスペースを作り、そこに、ティラピアの皮で覆った膣の形状のアクリル型を挿入する。壁が閉じないようアクリル型は10日間放置されるが、その間にティラピアの皮は細胞組織に吸収・転換され、患者の組織細胞に向かって、幹細胞のように細胞と成長因子を放出。本物の膣と同じような膣壁を形成する。ティラピアの皮の行方はと言うと、生体適合性を有しているから完全に身体に吸収されるそうだ。

ティラピアの皮は手術前に殺菌処理が施され、鱗と魚の生臭い匂いを除去。これをもとに作られた淡色のジェル状の被覆材は、冷凍保存で無菌状態のまま最長2年は保存可能という。

metro news ht/YouTube
今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで

ワールド

クラウドフレアで障害、数千人に影響 チャットGPT

ワールド

イスラエル首相、ガザからのハマス排除を呼びかけ 国

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中