最新記事
中間選挙オバマ失言で勢いづく共和党
バラク・オバマの問題は、大統領としての資質にあるのか、それともコミュニケーション能力にあるのか?
実際のところ、問題なのは経済だ。しかし有権者は、オバマ政権の能力不足やアピール下手が問題だと考えている。なぜオバマは経済の立て直しにもっと力を入れないのか、なぜ自分の功績をうまく説明できないのか、と。
オバマは先週、自らコミュニケーションの問題をさらけ出した。ワシントンの大学で開いた集会で、ニュースのサイクルが早過ぎて長期的な問題の解決に向けた政権の取り組みに国民の目が向かないと発言。ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでは、自分と部下が政治的な利益よりも正しい行いを追求することに「かえってプライド」を持っていると語った。
一方、共和党はオバマの能力に問題があると主張している。ブッシュ政権とは違って、聡明でイデオロギー色のない大統領と期待されたオバマだが、実際はそうではなかった。共和党はその証拠として、法案を成立させられない政権の非力さに加え、雇用情勢に対するあまりに楽観的な見通しや、メキシコ湾原油流出事故への対応の遅れなどを挙げている。
さらにオバマは、ニューヨーク・タイムズのインタビューで図らずも敵の攻撃を助けるような発言をしてしまった。景気刺激策に含まれているインフラ(社会基盤)整備に関して、「問題は時間がかかること。今すぐ開始できる(インフラ)事業などない」と答えたのだ。
オバマ政権は景気刺激策を実施した際、直ちに政府支出が投入されるとうたっていたはず。国民は多くの事業が「すぐに着工できる」と伝えられていたし、ホワイトハウスのウェブサイトもそんなうたい文句であふれている。
共和党は早速このオバマの発言に飛び付き、景気刺激策が無駄だったと非難し始めている。カリフォルニア州上院選の共和党候補カーリー・フィオリーナの陣営は「(民主党上院議員のバーバラ・)ボクサーもオバマと同じ考えなのか?」と対立候補を挑発した。
中間選挙を前に景気刺激策による経済効果の論議は続くだろう。そしてオバマの発言は共和党に格好の餌を与えてしまった。
[2010年10月27日号掲載]