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米政治

チェイニーが次期大統領選に出馬すべき理由

2009年12月2日(水)16時23分
ジョン・ミーチャム(米国版編集長)

オバマを右寄りに動かせる人物

 オバマの大統領就任以来、チェイニーは消えてゆくどころか声高な批判を展開してきた。それなら識者として語るのではなく、選挙という舞台で自らの主張をしたほうが生産的だし、啓蒙的でさえあるのではないか。

 アフガニスタンとイラクでの戦争のおかげで、アメリカの安全性は高まったのか。チェイニーは今もサダム・フセインとアルカイダにつながりがあったと考えているのか。9.11テロ後のテロ対策措置は行き過ぎではなかったか。そうした議論を戦わせて国民の判断をあおごうではないか。

 歴史的にアメリカは極端な右と左の間を歩んできた。イデオロギー的に一方に傾き過ぎると、中間に引き戻す力が働く。だが中間がどこかは、右と左の極がどこにあるかによって変わってくる。チェイニーの見解を聴けば、保守派のなかで彼と距離を置く人々も考えを変えるかもしれない。チェイニーにはオバマを右に引き寄せる可能性があるからだ。その力はハッカビーにもペイリンにもない。

 チェイニーが21世紀の政治で重要な役割を果たすことになるとは誰も想像していなかったが、今や道は敷かれたといえる。大統領選への出馬に「関心はない」と彼が断固否定していても、一転して立候補することになるかもしれない。

 折りよく11年春には、チェイニーの回顧録の出版(と全米での宣伝ツアー)が予定されている。党員集会や予備選を控えた絶妙な時期だ。賭けてもいい。大統領選の行方を左右すると言われるアイオワ州では、州都デモインの格別大きな書店で宣伝イベントが開かれるはずだ。

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