最新記事

米政治

超党派を拒む「抵抗勢力」ナンシー・ペロシ

2009年4月24日(金)02時11分
ホリー・ベイリー(ワシントン支局)

オバマ側にペロシが激怒

 ペロシ周辺は否定しているが、ある政権筋によると、ペロシはホワイトハウスが民主党下院議員に接触する際は必ず自分に知らせるよう求めたという。彼女は会話の内容まで知りたがり、ホワイトハウスもこれに応じたらしい。

 ペロシが仕切る下院とホワイトハウスを調整する役目を担うのは、かつてペロシの下で民主党下院議員団長を務めたラーム・エマニュエルだ。オバマがエマニュエルを首席補佐官に起用したのも、下院時代の彼がペロシに立ち向かえる数少ない議員の一人だったからだ、という説もある。

 だがある民主党スタッフによると、エマニュエルはさっそくペロシの怒りを買った。エマニュエルは景気対策法案への共和党の支持を得るため、教育関係の支出を一部削ることで総額を圧縮してはどうかと、民主党上院院内総務のハリー・リードと内々に相談していた。これをかぎつけたときのペロシの怒りは相当なもので、オバマ自身が彼女に電話し、議長(と下院)を無視するつもりはないと釈明したほどだ。

 今のところ、オバマがペロシを必要とする以上に、ペロシはオバマを必要としている。だがオバマ人気が長続きしないことは、本人が最もよく承知している。今後の予算編成や医療制度改革の闘いでは、ペロシの協力が不可欠だ。

 2月23日にホワイトハウスで開かれた超党派議員らによる「財政責任サミット」では、テキサス州選出の共和党下院議員ジョー・バートンが立ち上がって、オバマに注文をつけた。本当に超党派の支持を得たいのなら、議会をもっと「開かれた」場にするよう、ペロシに指示するべきだ、と。

 心の底では同感だと思っただろうが、オバマはあえてぺロシを擁護した。「多数派は野党に寛大でなければならないが」と彼は言った。「野党も建設的である必要がある」

 後にこのオバマ発言を聞いたペロシは大喜びしたという。民主党幹部の側近によれば、最近のペロシは景気対策法案の扱いで自分がさらし者になっていると感じはじめていた。そこへ、思いがけない大統領からの援護射撃。

 ワシントンで「友達の輪」を広げるすべを、早くもオバマは身につけたようだ。

[2009年3月11日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ワイルズ米首席補佐官が乳がんと診断、職務継続へ ト

ワールド

IEA、必要なら追加的な備蓄放出も=ビロル事務局長

ワールド

ホルムズ海峡船舶護衛、欧州の多くで慎重論 「われわ

ワールド

供給確保優先、ホルムズ海峡のイラン船舶通過「問題な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 5
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中