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半導体

エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入った「最強ライバル」の名前

2026年2月5日(木)15時55分
真壁昭夫 (多摩大学特別招聘教授*DIAMOND Onlineからの転載)

エヌビディア一強体制は崩れる可能性

グーグルのTPUを使う企業が増えている要因は、演算能力の高さに加え、エヌビディアのGPU供給不足、電力供給問題など複合的だ。ソフトウエアを含めた使い勝手から、本当はエヌビディアのチップを使いたいが、思うように手に入らない事情もあるだろう。

それに加えて注目すべきは、チップの機能の分化だ。病院で一般外来と緊急外来が分かれているように、機能を分けた方が効率的なことは多い。TPUに注目が増えた背景には、AIの学習と推論ごとに最適な機能を持つチップを使うべきだとの考え方が基本にある。


また、用途に合わせてカスタマイズしたチップの需要が増えたこともある。同じプロセスの場合でも、アプローチや考え方が異なる場合もある。米オープンAIは、ブロードコムと協業して自前の半導体開発体制を拡張している。そうした流れを見ると、今後、半導体の自社開発に取り組む企業は増えるだろう。

エヌビディアのGPUは、必ずしもベストなAIチップとは限らない。今すぐではないものの、AIチップ分野におけるエヌビディア一強体制は変わると予想される。それに伴い、世界の半導体、さらには産業界には重大なインパクトが及ぶだろう。

メモリー半導体分野では、恐らくシェアの変動が起きるだろう。ファウンドリー分野でも、学習用、推論、データ保存など、用途ごとのチップ製造技術の向上が問われるはずだ。AIでチップのデザイン、開発を行う企業が増えるに伴い、ファウンドリーの重要性はさらに高まるとみられる。

目まぐるしく変わるAI関連の変化に、日本企業は対応できるのか。グーグルはTPUの関連部材を、主に韓国企業から調達したようだ。環境変化への対応が遅れると、わが国の半導体製造装置やフッ化水素、感光材など半導体関連部材企業の競争力が低下してしまうだろう。

現時点の競争力が、そのまま中長期的な成長を保証するとはいえない。戦略物資である半導体の再興は、わが国経済の浮沈にかかわる。高市政権は半導体を中心に的を絞った産業政策を実行することが急務だ。世界のAI半導体、AIロボットなど先端分野の需要を取り込み、産業・経済体制の確立を急ぐべきだ。

※当記事は「DIAMOND online」からの転載記事です。元記事はこちら
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