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100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」

It Took 100 Years, but We May Finally Have ‘Seen’ Dark Matter

2025年11月27日(木)18時45分
ハンナ・ミリントン

さらなる検証も必要

「我々は、フォトンエネルギー(光を構成する粒子、光子(フォトン)が持つエネルギー)が20ギガ電子ボルト(1電子ボルトは、1個の電子が1ボルトの電位差で得るエネルギーを指す。200億電子ボルトは、極めて大きなエネルギー)に達するガンマ線を検出した。このガンマ線は天の川銀河の中心に向かってハロー状に広がる構造を持っており、放射分布は(理論上予測されていた)ダークマターハローの形状と非常によく似ていた」と戸谷は言う。

「もしこれが正しければ、人類は初めてダークマターを『見た』ことになる。そして、このダークマターは現在の素粒子物理学の標準模型には含まれていない、新たな粒子ということになる。天文学と物理学における大きな前進だ」


戸谷によると、観測されたガンマ線の強度から推定されるWIMPの対消滅の頻度も、理論的な予測の範囲内に収まっている。

さらに、観測されたガンマ線は、他の一般的な天体現象や放射によって簡単には説明がつかないため、今回のデータがダークマターによるガンマ線放出の可能性が高いと考えている。

「もしこの発見が正しければ、ダークマターの正体がWIMPであることを突き止めたことになる。宇宙論における最大の謎のひとつに答えを示すことができる」と戸谷は語る。

「素粒子物理学の標準模型に含まれていない新たな素粒子の発見を意味するだけでなく、基礎物理学における重大な進展をも意味する」

しかし、この成果は他の研究者による独立した解析によって検証されなければならず、これがダークマターであるかどうかはさらなる証拠が必要だ。

「これが真にダークマターであると確信するには、同じスペクトルのガンマ線が、たとえば矮小銀河といった他の領域からも検出されることが必要だ」と戸谷は本誌に説明した。

「フェルミ衛星や、CTAOのような地上の大型ガンマ線望遠鏡によるデータのさらなる蓄積が極めて重要になる」

【関連記事】
【写真】100年以上の時を経て、ついに観測されたダークマターの姿
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