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進化

人類のアルコール好きの起源は進化にあった...「酔っ払い猿」が示す、人類の進化の新事実とは?

The Human Ape and Alcohol

2025年10月9日(木)16時10分
スー・キム(ライフスタイル担当)

今回の研究では、観察地点2カ所で、チンパンジーが日常的に食べている複数種の果実のエタノール含有量を測定。その一般的な濃度は、およそ0.3~0.4%だった。

「野生のチンパンジーは1日に、体重の1割前後に相当する量の果肉を摂取している。大したことのない濃度に思えるが、合計すればかなりの量だ」と、ダドリーは指摘する。


進化が残した二日酔い

研究では、観察地点のチンパンジーの長期的な食データを活用し、純粋エタノールの1日当たり摂取量は約14グラムだと割り出した。国際的な飲酒量単位(1ドリンク=純アルコール約10グラム)に照らせば、約1.4ドリンク分だ。

「アルコール度数12.5%のワイン125ミリリットルには、純アルコール12グラムが含まれる。チンパンジーの平均体重は40キロで、人間は70キロ。この差を考えると、人間が1日当たりワイン2杯を飲むのと等しい」と、ダドリーは語る。つまりチンパンジーは「生理学的に意味を持つ水準のエタノールを習慣的に摂取している」。

ダドリーによれば、これは「酔っぱらいのサル」仮説が予測していたことだ。今回の研究は「チンパンジーと人類の共通の祖先が、おそらくエタノールに親しんでいた進化的な背景を明らかにする」ものでもあるという。

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