最新記事
AI

「成長しないのび太」になるな...AI時代を勝ち抜く、人生の分かれ道とは?

2025年7月7日(月)14時19分
茂木 健一郎(脳科学者)*PRESIDENT Onlineからの転載

うまく使えば生産性や効率を上げられる

秘密道具には、子どもだけではなく、大人が欲しがりそうなものもたくさんあって、たとえば、アンキパン。食べると、暗記できてしまうので、もし実用化されれば、欲しがる人はたくさんいるに違いありません。テストの前に、このアンキパンを食べれば、100点満点を取れそうです。

もっとも、マンガ(アニメ)では、オチがあります。のび太がその秘密道具を悪用して壊したり使いものにならなくしたりして、結局は宿題を自分でやる羽目になります。ラクして宿題を終わらせることはできないという教訓です。

AIとは、秘密道具を持ったドラえもん──。こう言うと、AIが人間にとってどういう存在になり得るかが、理解できることでしょう。現実の世界では、まだアンキパンはもちろん、タケコプターやどこでもドアも開発されていません。

 


そうした道具が実用化されなくても、現在までのAIは、人間にとってドラえもんの秘密道具に相当するほど画期的なものです。うまく使いこなせば、効率化や生産性向上に直結します、逆に、使いこなせなければ、その恩恵に与ることもできません。

AIとは、ドラえもん。そう理解すれば、AIを使ってみようと思う人は多くなることでしょう。

秘密道具を使った後どうするか

話はここで終わりません。ドラえもんの秘密道具を使って宿題を終わらせたのび太は、それで終わり。宿題以外のところをもっと勉強しようとか、余った時間を有効活用してスポーツをしようとか本を読もうと思ったりもしません。宿題を終わらせたら、マンガやテレビを見たりするだけ。成長意欲はゼロ。

もしのび太が秘密道具を使って宿題を終わらせたとしても、それ以外に興味を持ったことを勉強しようとしたり、あるいはスポーツをやったりすれば、たとえ自分の力で宿題をやらなかったとしても、成長はします。おそらく学力も伸びるし、スポーツも前よりはできるようになるでしょうし、少なからず成長します。

ドラえもんの秘密道具を使って宿題を終わらせて、ほかに何もしないのび太。ドラえもんの秘密道具を使って宿題を早めに終わらせて、それ以外の勉強やスポーツをするのび太。もしあなたがのび太だとして、どちらになるのを望むかと言えば、間違いなく後者でしょう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

訂正-米ウォルマート、第2四半期利益は予想未達 通

ワールド

イスラエル首相、ガザ停戦交渉の即時再開を指示 攻撃

ビジネス

訂正-米利下げ、差し迫っていない 現在のデータは根

ビジネス

米中古住宅販売、7月は2%増の401万戸 予想上回
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精神病」だと気づいた「驚きのきっかけ」とは?
  • 2
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自然に近い」と開発企業
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 5
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 6
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 7
    米軍が長崎への原爆投下を急いだ理由と、幻の「飢餓…
  • 8
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 9
    ドンバスをロシアに譲れ、と言うトランプがわかって…
  • 10
    フジテレビ、「ダルトンとの戦い」で露呈した「世界…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中