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今度こそ本物?「ごく少量の血液で誰でも使える検査装置」が人手不足に悩む医療現場に起こす革命

Blood, Sweat and Tears

2025年3月6日(木)10時35分
アレクシス・ケイザー(医療担当)

サンフランシスコ総合病院の臨床化学研究所とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の臨床ゲノム薬理学研究所で所長を務めるアラン・ウー医師は、両社の事情に詳しい人物だ。現在はトルビアンの科学諮問委員を務める彼は、トルビアンはセラノスとは違うと主張している。

10年ほど前、ウーはセラノスのホームズから同社の研究所長就任を持ちかけられた。最初は断ったが、16年に自社のイメージ刷新に乗り出したホームズに再度請われて科学・医学諮問委員会に加わることを承諾した。

「彼女の技術はまだ有望だと考え、それを実用化できたらと思っていた」と、ウーは言う。


その期待は裏切られたが、トルビアンは「革命児」になれるとウーは確信している。

「エリザベス・ホームズのもともとのコンセプトはまだ理にかなっていて共感できた。その後の取り組みとアプローチは失敗したが、トルビアンには成功するだけの技術があって有望だと思った」

信頼度の高さをアピール

ウーに言わせれば、セラノスの最大の問題は透明性の欠如だった。同社は研究結果を専門家にも世間にも公表しなかった。

研究分野のオピニオンリーダーを参加させるのも遅すぎたとウーは指摘する。ホームズが科学諮問委員会を設置したのは研究所の業務停止後。社外取締役にはジョージ・シュルツ元国務長官やヘンリー・キッシンジャー元国務長官など、科学者を上回る数の政治家が名を連ねていた。

「あなたなら自分の検査結果を彼らに託すだろうか、それとも私のようなプロに託すだろうか」と、ウーは言う。

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