最新記事

核融合

世界の核融合研究では、AI・機械学習の活用が進んでいる

AI PLAYING A ROLE

2023年2月17日(金)09時35分
エド・ブラウン(本誌科学担当)
核融合炉

トカマク型核融合炉で機械学習が重要な役割を担う JOHN D LOPEZ/ISTOCK

<夢のクリーンエネルギー実用化の最後の決め手に? 安定的な核融合反応に欠かせないプラズマの追跡などに活用され始めた>

最新の核融合研究で、人工知能(AI)の活用が進んでいる。核融合炉内部のプラズマの「塊」を機械学習で見つけて追跡することで、プラズマの動きを正確に捕捉し、核融合の実用化に役立てようというのだ。

核融合反応は原子核同士が融合することで大きなエネルギーを生む仕組みだが、巨大な熱と圧力を加えた環境が必要で、膨大な電力を消費する。

科学者たちは、消費した分を上回るエネルギーを発生させることに、まだ本当の意味では成功していない。

世界的に主流の核融合炉は、ドーナツの形をしたトカマク型だ。炉の内部に強い磁気によって超高密度・超高温のプラズマを閉じ込める方式で、このプラズマが核融合を引き起こす環境をつくる役割を担う。

プラズマは、乱流(不規則な運動)を起こす「塊」を炉の内縁部に形作る傾向がある。この塊は、プラズマの熱と粒子と炉が互いにどう作用するかを決める。

従って、その形成と動きを追跡することは核融合研究にとって非常に重要だ。

裏を返せば、塊の情報が分かれば、トカマク炉をどう制御すればいいかも、おのずと見えてくる。炉の安全を守り、安定して高温の状態を維持するためには、塊は内壁から遠ざけておく必要がある。

「プラズマの塊は、炉内のプラズマ発生の中心部から遠い場所、つまりプラズマと内壁との激しい相互作用を抑える必要がある場所に、大量の粒子と熱を運ぶことがある」と、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のクリスチャン・タイラー准教授(プラズマ物理学)は本誌に語った。

「このプロセスをよりよく定量化し、炉内の状況を推定することは重要な課題だ」

研究を加速させる大きなカギ

しかしプラズマの塊は1秒間に何千個も発生するため、一つ一つ追跡することは人の力では不可能だ。これまで科学者は、平均値を使ってこの課題に対処しようとしてきた。

今回、マサチューセッツ工科大学(MIT)などのプラズマ物理学者の研究チームはトカマク炉の反応映像を分析し、個々の塊を追跡して分析する機械学習モデルを開発した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三井住友FG、4ー12月期純利益は22%増 本業好

ワールド

マクロスコープ:FRB議長人事、「無難で安心感」と

ビジネス

野村HD、10-12月期純利益は一時費用で10%減

ビジネス

日経平均は4日ぶり小反落、朝安後は下げ一服 個別物
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 10
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中