最新記事

アマゾン

サービス拡大続くアマゾン 運輸事業ではグーグル、アップルしのぐ特許件数

2019年8月5日(月)14時09分

米アマゾン・ドット・コムが運輸産業への進出を拡大している。自動車の製造を除けば、実質的にすべての関連事業に手を広げている状態だ。写真は25日提供(2019年 ロイター/Amazon.com)

米アマゾン・ドット・コムが運輸産業への進出を拡大している。自動車の製造を除けば、実質的にすべての関連事業に手を広げている状態だ。

アマゾン幹部や業界幹部20人以上への取材とロイターの分析によると、物流、クラウド、デジタルサービスでの強みを生かすとともに、ロボット工学から製造に至る関連産業と手を組むのが同社の戦略だ。

サプライチェーンの隅々まで新規投資や提携を張り巡らせ、自動車業界のベテラン人材を起用し、大量の特許を取得。宅配便大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)から配車大手ウーバー・テクノロジーズまで、顧客企業や提携企業に戦いを挑む格好になっている。

運輸コンサルタントのジョン・エリス氏は、顧客企業は「震え上がっているはずだ」と言う。消費者の自動車への関心は薄れており、「乗っているのがフォードかクライスラーかシボレーかBMWかなど気にかけない」人が増えると予想した。

トヨタ自動車の元幹部で、2017年にアマゾンの「アレクサ・オート」部門責任者に起用されたネッド・キュリック氏はロイターの取材に対し、「お客様に価値をもたらせると判断した場合には、アマゾンの各サービスをより緊密に統合する方法を常に考えていく」と書面で回答した。

特許攻勢

アマゾンが2016年12月から19年5月に米当局から取得した特許5000件以上をロイターが分析したところ、うち少なくとも210件がドローンや自動運転車など運輸に関するものだった。これは競合するアップルやグーグルの親会社アルファベットを凌ぐペースだ。

乗客輸送に関する特許も何件か取得しており、2017年には自動運転車ネットワークを通じてオンデマンドでサービスを提供する特許も得ている。これはウーバーや同業のリフト、グーグル傘下のウェイモだけでなく、主要顧客であるフォルクスワーゲン(VW)やフォード、ゼネラル・モーターズといった自動車メーカーとも競合する可能性がある。

アマゾン広報は「特許取得には数年間を要するため、現在の製品・サービス動向を必ずしも反映していない」と説明した。

アマゾンは運輸関連の投資も強化しており、2月以来、他の大手投資家と共同で著名スタートアップ企業3社に20億ドル近くを提供した。

過去2年間にはスタートアップ3社の買収により運輸システムを拡大している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、週明けの米株安の流れ引き

ワールド

米朝首脳会談の開催提案、韓国大統領がトランプ氏との

ビジネス

トランプ氏、ABCとNBCの放送免許剥奪示唆 FC

ワールド

大韓航空、ボーイング機103機発注 米韓首脳会談に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中