最新記事
AI

自動運転車に「不安」が6割、18~35歳でさえ強い抵抗感

Driverless Car Fears

2018年12月10日(月)17時25分
カシュミラ・ガンダー

肝心の利用者が自動運転車を不安視している(サンフランシスコで走行するウーバーの自動運転車) JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

<企業や政府は実用化に前のめりだが、アメリカの調査で不安を抱く人が大半という結果が......>

自動運転車の導入に向け、企業や政府の動きがますます活発化するアメリカ。だが乗る側も実用化を心待ちにしているかというと、そうでもなさそうだ。

今年2月に発表された調査によれば、大半のアメリカ人が自動運転車に不安を抱いているという。調査会社ギャラップによる成人アメリカ人3000人以上を対象にしたこの調査では、59%が自動運転車に乗るのは不安だと回答。さらに54%は自動運転車を利用しないつもりだと答えた。66歳以上の層は最も抵抗感が強く、69%が利用するつもりはないと回答。18〜35歳では41%だった。

この調査結果は、自動運転車の普及に向けて躍起になる政府や企業にとってまさに「不都合な真実」だろう。カリフォルニア州陸運局は2月、運転席に人が座らない完全自動運転車の公道実験を認めると発表した。アリゾナ州でも2月、グーグル系列の自動運転車開発部門ウェイモが、交通サービス会社としての事業認可を取得している。

「テスラやグーグル、アップルなどのテクノロジー企業、さらにダイムラーやボルボ、トヨタ、BMWなど自動車大手やサプライチェーン企業も、自動運転技術を推し進めている」と、英アストンビジネススクールのデービッド・ベイリー教授は言う。

彼らはどうすれば、自動運転に懐疑的な人々を納得させられるのだろう。「実際のところ、自動運転車は重大な問題もなく何百万キロも既に走行している」と、米国電気電子技術者協会(IEEE)会員のアントニオ・エスピンガルデイロは言う。「信頼性を高めるためには、成功事例の研究を積み重ねることが必要だ。完全自動運転化の可能性を見せつけるためには、より簡単、安全、高速で、手間はより少なく、といった点がキーワードになる」

自動運転技術が日々進化し、実用化に向けた動きが活発化しても、人々の不信感は自動的には解消できないようだ。

<2018年12月11日号掲載>

【参考記事】自動運転車は「どの命を救うべきか」世界規模の思考実験によると...



※12月11日号(12月4日発売)は「移民の歌」特集。日本はさらなる外国人労働者を受け入れるべきか? 受け入れ拡大をめぐって国会が紛糾するなか、日本の移民事情について取材を続け発信してきた望月優大氏がルポを寄稿。永住者、失踪者、労働者――今ここに確かに存在する「移民」たちのリアルを追った。

ニューズウィーク日本版 Newsweek Exclusive 昭和100年
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月12日/19日号(8月5日発売)は「Newsweek Exclusive 昭和100年」特集。現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北部戦線の一部でロシア軍押し戻す=ウクライナ軍

ワールド

プーチン氏、米アラスカ州訪問「非常に有益」 高官会

ワールド

「ディール」迫るトランプ氏、ゼレンスキー氏は領土割

ビジネス

アングル:屋台販売で稼ぐ中国の高級ホテル、デフレ下
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 4
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中