幕が下りたら、ゴミになる。舞台芸術が抱える「大量廃棄」という闇
SDGs以前からの実践者:新国立劇場のレパートリー公演

ここまで、サステナブルな舞台制作についての新しい動きを紹介してきたが、実はSDGsやサステナブルという言葉が生まれる以前から、持続可能な創作活動は舞台芸術の現場で実践されてきた。
その代表的な存在が欧米の劇場で広く採られているレパートリーシステムというものだ。特定の作品を限定した期間で集中的に上演するのではなく、複数の作品をローテーションさせながら、数年間から数十年間にわたって繰り返し上演する方式だ。ここからは日本で数少ないレパートリーシステムを採用している劇場、新国立劇場の事例を取り上げる。
新国立劇場は、オペラ、バレエ・ダンス、演劇の3部門で公演活動を主催するが、その中でもオペラ部門は、多くの作品をレパートリーとしてストックし、再演を続けている。また海外の劇場との共同制作や作品の貸し出しなども行っているという。
廃棄を前提としない「保管と再演」のシステム

舞台芸術において、公演が終わったセットや衣裳は、通常、廃棄される。しかし、レパートリーシステムでは、舞台装置を廃棄するのではなく、長期的に保管し、再演のたびに再利用することが前提となる。
新国立劇場は、舞台美術の保管と管理のため、千葉県銚子市に「舞台美術センター」を有する。同劇場で美術・音響・照明・衣裳などの各部門を統括する友光一夫技術総括課長によると、このセンターには大道具などの保管のため、国際基準である40フィート(12×2.4×高さ2.5メートル)の輸送用コンテナが約200本以上も収容されている。
舞台美術センターの建屋の中には、この国際規格のコンテナが3段積み、4段積みで保管されている。コンテナのサイズは世界共通のため、長期保管だけでなく、将来的な海外公演への輸送の際にも非常に有利だ。また衣裳は温度管理された室内に保管され再利用される。
レパートリーシステムは、結果として、舞台美術や衣裳の大量廃棄を防ぎ、制作にかかるコストや労力、資源を節約する効果をもつ。SDGsの目標(「つくる責任 つかう責任」など)に合致した運営体制を、SDGsという言葉が生まれる前から実現していたと言える。

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