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寿命60年のソメイヨシノ、どう残す? 東京ミッドタウン「桜継承プロジェクト」の挑戦

2025年12月25日(木)12時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

2013年に始まったこのプロジェクトでは、古木の枝から苗木を育てている。茨城県古河市での育成を経て、2015年にはミッドタウンの敷地内に一部(2本)を植樹。

2018年からは育成地を千葉県木更津市に移設し、継続してきた。既存の桜が衰弱した際には、育成した苗木に植え替え、命のリレーのように景観を守り続ける構想だ。

こうして育ててきた桜は、すでに東京ミッドタウンの外にも広がり始めている。

2025年4月には、「防衛省・自衛隊70周年」および「市ヶ谷移転25周年」を記念して、このプロジェクトで育成した苗木10本が、新宿区市ヶ谷の防衛省敷地内に植樹された。

「旧防衛庁時代にこの土地に植えられていた桜から生まれた苗木が、時を経て防衛省の地に根を張ることになった出来事は、とても印象深い瞬間でした」と、プロジェクトに携わるプロパティマネジメント二部 運営管理第二グループの長友裕実子氏は語る。

その手応えは、現場の日常にも表れている。ミッドタウン・ガーデンを散歩する近隣の住民と植栽管理スタッフが言葉を交わすなかで、古くからこの土地に根付く桜を大事に残していることを伝えると、喜んでくれる人もいるという。

長友氏は、そうした日常のやりとりを通じて、「土地の記憶を残す」取り組みが、時間だけでなく、人と人とのつながりも生み出していると感じている。

四季のガーデンから、50年先のまちをデザインする

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訪れる人々の憩いの場になっている「ミッドタウン・ガーデン」

東京ミッドタウンは「桜継承プロジェクト」にとどまらず、生物多様性に配慮した緑地運営にも力を入れている。ミッドタウン・ガーデンは春の桜、ゴールデンウィークの新緑、梅雨の紫陽花、初夏のアガパンサス、秋冬の紅葉と、四季折々の植栽によって彩られる。

緑地を活かしたゴールデンウィークのイベントではガーデンを開放し、芝生でピクニックを楽しめる場を提供してきた。過去のクリスマスイベントでは、剪定枝を活用したサステナブルなクリスマスツリーの設置やスワッグ作りを実施し、日々の植栽管理から生まれる資源を無駄にしない工夫も行っている。

さらに、ガーデンに飛来する鳥たちを紹介するパンフレット「THE BIRD handbook」を作成し、館内で配布。来街者が身近な自然に目を向け、その生態や季節の変化に気づくきっかけをつくることで、都市における生物多様性を考える入り口を提供しているのだ。

街づくりは、一度つくれば終わりではなく、どう活かし続けるかが重要だ。東京ミッドタウンは過去から受け継いだ緑、街とともに創りあげた緑を50年、100年と大切に守り続けることで、都心にありながら自然と歴史の気配を感じられる場を未来へとつないでいく。

ニューヨークのハイラインやセントラルパークがそうであるように、都市の緑が価値になるのは、守り育てた先だ。東京ミッドタウンのような街づくりが、日本各地へ広がっていくことを期待したい。

◇ ◇ ◇


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