最新記事
SDGsパートナー

空き家問題を「壊す」だけで終わらせない...解体から未来につなげる、タミヤホームの挑戦

2025年10月10日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

空き家を「壊す」だけでなく、未来につなげるため「価値創造」を目指す

このような地域再生の循環モデルは、SDGsの視点からも重要な意義を持つ。目標11「住み続けられるまちづくりを」では、防災・景観・治安の改善に直接貢献。2025年からは耐震相談を無料で開始し、築年数の古い住宅の安全性向上に取り組んでいる。

さらに目標8「働きがいも経済成長も」においては、業界の3Kイメージを打破すべく、未経験者の育成やアスリートのセカンドキャリア支援を積極的に行った。現役・元アスリートが持つ高い目標達成力とチーム力は、現場に新たな価値をもたらしている。

こうした取り組みは、制度や表面的な改革にとどまらない。田宮氏が繰り返し語るのは「人の想いを受け止める企業でありたい」ということだ。どんなにAIや制度が整っても、空き家には人の感情が絡んでいる。

だからこそ、タミヤホームは「話を聞く」こと、「一緒に悩む」こと、「選択肢を提案する」ことを徹底する。LINEを活用したAIコンシェルジュの開発や、無料相談会の開催など、デジタルとリアルの両軸で相談窓口を広げているのもそのためだ。

課題は、個人顧客への認知拡大。現在の依頼は法人が中心だが、「誰に相談すればいいか分からない個人」の声に応えることこそが、真の空き家解消につながる。タミヤホームでは今後、社員数の増強やアスリートネットワークの活用を通じ、認知拡大に取り組む方針だ。

2035年には年間解体件数1万件を、2040年には子ども支援プロジェクトの本格展開を目指す。

タミヤホームの生み出す循環

タミヤホームは、未来の子供たちの笑顔につながる循環を生み出している


「壊すことで、つなげる未来がある」――そう信じ、地域と向き合い続けるタミヤホームの挑戦は、空き家問題を単なる「撤去」ではなく、「価値創造」へと昇華させている。

こうした思いを持つ同社の取り組みが広がれば、空き家問題は最早「問題」ですらなくなるかもしれない。

◇ ◇ ◇


アンケート

どの企業も試行錯誤しながら、SDGsの取り組みをより良いものに発展させようとしています。今回の記事で取り上げた事例について、感想などありましたら下記よりお寄せください。

アンケートはこちら

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

香港の高層複合住宅で大規模火災、13人死亡 逃げ遅

ビジネス

中国万科の社債急落、政府が債務再編検討を指示と報道

ワールド

ウクライナ和平近いとの判断は時期尚早=ロシア大統領

ビジネス

ドル建て業務展開のユーロ圏銀行、バッファー積み増し
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中