最新記事
インタビュー

トランプ「反・気候変動」時代到来で思い出すべき、京都議定書での日本の過ち──蟹江憲史教授

2024年12月27日(金)15時15分
森田優介(ニューズウィーク日本版デジタル編集長)

蟹江 意味があると思います。

また、COPは(気候変動対策の進捗を)検証する場でもある。以前は、国際的なルールを決める場というイメージが強かったが、現在は(各国がそれぞれ)自分の目標に向けてやるべき対策をやって、それらを集めて、科学的な評価をする、ダメだったらプレッシャーをかける、という形になっている。

SDGsと同じだ。各国がそれぞれ目標に向けて対策をし、そのレビューを国際的な枠組みの中でどこまで突っ込んでやっていくか。

ただ、気候変動に関しては、IPCCが科学と政策とが協調する場としてきちんと機能しているので、(アメリカがトランプ政権になっても)この形は続いていくだろう。

――「気候変動に関しては」と仰いました。SDGsについてはどうか。

蟹江 SDGsはアメリカであまり話題になっていないし、国際的な枠組みから出るとか出ないとかの話ではない。トランプ政権の元でも大きなインパクトはないだろう。そもそも、国連では各国が自国のSDGsの進捗状況をレビューしている(Voluntary National Review)が、アメリカは自分たちの評価をやっていない。先進国で唯一やっていない。その状態は続いていくだろう。

(2030年までに解決を目指すとして目標を掲げる)SDGsについては、国連で今、2027年に「ビヨンドSDGs」の話を始めようとしている。ただ、トランプ政権が2025年から2028年までなので、おそらく2028年頃までは動かないだろうと感じている。

トランプ氏はお金を出さないとも言っているし、残念だが、国際的な格差解消はなかなか進展しないだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国製造業PMI、10月は49.0に低下 7カ月連

ビジネス

デンソー、通期利益予想を下方修正 品質引き当て織り

ワールド

AI投資傾斜の米巨大テック、アルファベットの資金力

ビジネス

VW、来週も国内生産継続 ネクスペリア巡る混乱「差
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中