海運の要・パナマ運河を気候変動が直撃、16億ドル巨大ダム計画が「危うい」深刻な事情

2024年12月8日(日)17時34分

「リオ・インディオ川に多目的ダムを建設するというプロジェクトが延期される、あるいは期限を定めずに中断されるリスクはかなり大きい」とプティ氏はロイターに語った。「計画がもたらすメリットについての広報戦略、そして影響を受ける住民への十分なインセンティブと補償体制が、この計画を無事に実施するための鍵になるだろう」

ホセ・イカサ運河担当相はロイターに対し、政府は住民の「不安と懸念」を理解していると述べた。「私たちの優先課題は、流域住民の生活条件と安寧に影響を与えないことだ。そのため、建設プロジェクトを前進させるにあたって、住民のニーズに応えるために彼らとの直接の交渉を続けていくことになるだろう」

運河の閘門で利用する淡水を確保するため、全長840メートル、高さ80.5メートルの巨大なダムを造ろうというのがパナマ運河庁の狙いだ。同庁によれば、ダムの貯水量は12億5000万立方メートル。乾期の通航船舶を1日最大15隻増やせるようになり、増加傾向にある450万人のパナマ国民への飲料水供給にも貢献するという。

閘門を持たないスエズ運河と異なり、パナマ運河は淡水を使って3セットの閘門を運用し、船舶が50マイル(80キロメートル)の人工水路を経由して太平洋と大西洋の間を行き交うことを可能にしている。

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