最新記事
SDGsパートナー

災害が起きても「1日で対応」...パナソニックが実現したサプライチェーンのレジリエンス強化

2024年11月26日(火)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

本格運用前の能登半島地震で生産停止を回避できた

そのわずか12カ月後、2024年4月には、ES-Resi.をさらに発展させた「EW-Resi.(EWレジ)」を全社で稼働したパナソニックEW社。

富士通のビッグデータ解析プラットフォームをベースに、最新のAI技術を採用したSCMシステムだ。生産、販売、在庫、部品調達など20の現行システムの業務統合に加え、20万品番を超える在庫部品の紐づけや可視化を行う。これにより部品の調達計画など、グローバルレベルでの全体最適化ができるようになった。

有事対応においては、地震などで被災したサプライヤーの被災情報や部品の手配状況、影響を受けそうな部品や代替部品の在庫状況などを、即座にリストアップできるよう機能を大幅にアップデートしている。災害発生時の対応アクションは、平均1日で完了できるようになった。

パナソニック

従来はバケツリレーのような情報伝達を行っていた有事対応は、2023年の「ES-Resi.」、2024年の「EW-Resi.」へと進化していった 出典:パナソニックEW社

4月に全社導入されたEW-Resi.が早速その成果を発揮したのが、本格運用前に発生した1月の能登半島地震時の対応だった。

「震度5以上を計測した被災地の情報を抽出し、当該地域のサプライヤーに関わる製品や部品の状況等を可視化すると同時に、供給に影響が出そうな部品や代替部品の供給が可能な他拠点を特定して対応を行いました。EW-Resi.では、そこまでのアクションを即日に完了することができ、結果として生産停止を回避することができたのです」(森下氏)

国内外18拠点の連携を終え、2025年3月までには海外を含むすべての拠点を連携する予定だという。

「海外拠点では一部、モニタリング等のレベルを国内拠点と少し変えた運用を行います。SCM情報のグローバルでの共有をこのレベルで実現しているメーカーは、日本では他にないと思います」と、森下氏は胸を張る。

グローバルに事業展開するメーカーにとって、もはや欠かせないサプライチェーンのレジリエンス強化。パナソニックEW社のような先進的な取り組みが増えていけば、経済・社会の基盤がより強固なものになるだろう。

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NTT、本社を日比谷に移転へ 2031年予定

ワールド

アングル:戦死・国外流出・出生数減、ウクライナ復興

ワールド

アングル:日銀、先行き利上げ判断で貸出動向に注目 

ワールド

米新安保戦略、北朝鮮非核化を明記せず 対話再開へ布
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中