電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家庭のエネルギーの半分を捨てている日本の家
なぜ"新築"ではなく"中古住宅"なのか
日本にはいま約6000万戸の住宅があり、そのうち8割以上がすでに建っている既存住宅です。
新築住宅の着工戸数が減ってきている中で、これから建つ新築住宅をいくら高性能にしても、日本全体のエネルギー消費の大半は、これらの既存住宅から生まれているため、効果は限定的です。
しかも、既存住宅のほとんどは、断熱も気密も不十分な「エネルギーを無駄に捨てる構造」になっています。
冬は暖房の熱が窓や壁から逃げ、夏は外の熱がどんどん入り込みます。その結果、冷暖房に大量のエネルギーを使い続けることになっています。
当然、電力やガスの使用量が増え、CO2排出量も増えます。
また、原油等の化石燃料の輸入額が膨らみ、貿易収支やエネルギー安全保障にも悪影響を及ぼしています。
さらに、高齢化が進む中で、寒い家が居住者の健康寿命を縮め、医療費や介護費を押し上げています。
つまり、住宅の断熱性能の低さは、単なる「省エネ・省CO2」、「住み心地の問題」ではなく、国家財政と社会保障をむしばむ構造問題になっているのです。
国が新築ではなく既存住宅の断熱改修に軸足を移しているのは、正面から見据えた結果だと見るべきでしょう。
「窓と給湯器」でエネルギーの半分を捨てている
では、どこから手を付けるのが最も効果的なのか。ここで登場するのが、今回の補助金の主役である「窓」と「給湯器」です。
住宅から失われる熱のうち、最も大きな割合を占めるのが窓です。
一般的な日本の住宅では、冬の暖房熱の52%が窓から逃げていると言われています。
夏も同様で、外から入ってくる熱の74%が窓経由です。

次に大きいのが給湯です。
家庭で使うエネルギーの中で、給湯は最大の31%を占めています。
特に、古いガス給湯器や電気温水器は、エネルギーを大量に無駄にしながらお湯をつくっています。

政府が、2026年度の補助制度として、窓の断熱リノベ給湯機の省エネ化に巨額の予算を投じているのは、ここが最も費用対効果の高い"漏れ穴"だからです。
つまりそこには、国が考える「省エネ・断熱リノベの正解ルート」が示されています。





