「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
「射精しすぎると頭が悪くなる、禿げやすくなる」は全くのデマ
ところで話は変わりますが、江戸時代の儒学者・貝原益軒の『養生訓』(1713年)に、「接して漏らさず」という有名な言葉があります。
この言葉を本などで見たり、人から聞いたりして、ご存じの方もいるかもしれませんね。益軒さんがどういう意味でこんなことを言ったのかわかりませんが、精子はどんどん生産されているので「接して漏らさず」では体に悪いはずです。
このことについては何か変な解釈がされていて、セックスをしても、あるいはマスターベーションをしても射精はしないほうが、テストステロン(男性ホルモン)が増えるという考えです。
つまり、興奮だけして出さないのがいいんだという理論ですが、私は、それは本当だとは思っていません。なぜって、私は出せば出すほどテストステロンは増えると思っているからです。
それに精子を長くためておくと精液の濃度が高くなっていくので、射精したほうが精子の質がよくなりますから、理想的にはセックスの回数とかマスターベーションの回数とかを増やすとよいと思います。
「射精しすぎると頭が悪くなる、禿げやすくなる、ニキビができると」といった説がありますが、長年、男性の性機能障害や不妊症に携わってこられた永井敦川崎医科大学教授は「全くのデマだ」と話しています。
なお、益軒は70歳まで黒田藩に勤め、退任して死ぬまでの間にさまざまな本を著しました。彼の著作の大半は70歳以降のものです。
今や「人生100年」とされる時代ですが、益軒が生きた江戸時代の日本人の平均寿命は、その半分にも満たない40年を下回っていました。そんな時代に益軒は84歳まで生き、最期まで認知症や寝たきりになることなく生涯を全うしたのでした。
驚くことに『養生訓』は亡くなる前年の83歳のときに書いたものだそうです。そのおかげで、現代では医学的根拠のない多くの訓戒がいまでも信じられているのでしょう。
熟年こそ「今日からガンガンやってください」
「熟年こそ週4回はオナニーをすべし」
こうおっしゃっているのは、先ほどご紹介した「人生最高のセックスは?」という調査を行った富永喜代医師です。
オナニーは性的快楽だけでなく、性機能維持のためのトレーニングであると考えている富永医師は、患者さんに「何もせずにペニスを放置しておいたら、陰茎海綿体は線維化してしまうのだから、オナニーは機能訓練、リハビリよ! 今日からガンガンやってください」と、はっぱをかけています。
ハーバード大学の公衆衛生大学院が男性医療従事者約3万人を対象に行った調査では、月に21回以上射精する人は、月に4~7回の人に比べて前立腺がんになるリスクが約2割低下することが明らかになっています。
さらに、毎日射精することでDNAの損傷量が減少し、男性の精子の質が向上することが、ヨーロッパ生殖医学会の研究でも証明されました。
オナニーは"いいことづくめ"というわけです。