最新記事
メンタルヘルス

外国語を話すとなぜパニック発作がおさまるのか?...「母語以外でクヨクヨできない」

2025年4月18日(金)08時50分
クラウス・ベルンハルト(臨床心理士)
混乱する男性

metamorworks-shutterstock

<下手な学校英語ですら、はっきりと効果が現れる理由について...>

成人したあとは脳は一生変わらないとかつては考えられていたが、死ぬまで変わり続けることが現在はわかっている。これを「脳の可塑性(かそせい)」といい、わたしたちは死ぬまで変えることができる。

心の元気を取り戻し、再び気持ちを晴れやかにする「ベルンハルト・メソッド」の第2弾『落ち込みやすいあなたへ 「うつ」も「燃え尽き症候群」も自分で断ち切れる』(CEメディアハウス)より「第6章 落ち込みをすばやく克服する5つの変奏曲」を一部編集・抜粋。


 

外国語のトリック

声に出そうと頭の中だけであろうと、ネガティブな独り言は精神的なトラブルのきっかけとしてきわめてよくあるものといえます。

多くのセラピストが患者さんと協力して少しずつ改善しようと努力していますが、その際これらの独り言が主に母語でなされているという事実にはほとんど注意が払われていません。

しかし、抑うつ的で不安な、または強迫的な考えが通常ひとつの言語でのみ形成されるとするなら、言語を替えれば思いがけない治療につながる可能性があります。わたしたちは誰でも母語以外の言語でくよくよするのは得意ではありません。

特に興味深いのは、意識的に言語を切り替えたところ、その言語で考えて夢を見始めるまで数週間しかかからなかった人もいたことです。一方、通常のセラピーでは、自動的に浮かんでくるネガティブな考えがいちおう止むまでに数カ月または数年かかります。

患者さんたちの報告に触発されて、わたしはいろいろな検査を行いました。目的は、外国語のトリックをセラピーの手法として使えるかどうかを調べることでした。

まず、多くの患者さんに、頻繁に繰り返されるネガティブな考えに注意して、それが浮かんだらできるだけ早く英語や他の外国語に切り替えるように頼みました。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中