最新記事
メンタルヘルス

なぜ「地中海食」でうつが改善するのか?...脳細胞とマイクロバイオームの関係

2025年3月30日(日)09時55分
マイケル・モズリー(医師・医療ジャーナリスト)
オリーブ

LunarSeaArt-pixabay

<医師でBBCを拠点に活躍する科学ジャーナリストが世界最先端の知見を結集。なぜうつと腸が関係あるのか?>

医師でBBCを拠点に活躍する科学ジャーナリストが世界最先端の知見を結集し、「睡眠制限療法」と食事術を説く4週間で誰でも寝つきがよくなる 最速入眠プログラム(CCCメディアハウス)より「第5章 快適に眠るための食」を一部編集・抜粋。

地中海食が気分に与える影響とは?


 

地中海食が気分に与える影響

わたしはディーキン大学(メルボルン)フード・アンド・ムード・センター所長として精力的に活動しているフェリス・ジャッカ教授の大ファンだ。

ジャッカ教授とそのチームは、食べ物が脳や気分、心の健康に与える影響を明らかにしようという先駆的な研究を行っており、大いに感銘を受けている。

ジャッカ教授の研究のことは、2017年に発表されたSMILEs 試験(*1)の結果を通して知った。健康的な食事にうつ病の改善効果があるかどうかを調査した、世界で初めての介入研究である。本当に画期的な研究で、これまでに例がないだけに、道のりも険しいものだったはずだ。

こうした研究を実現するにはかなりの時間がかかるため、今振り返ってみてもこれは驚異的な研究だといえる。ジャッカ教授らは当初、中度から重度のうつ病患者180人を対象に研究を始める予定だった。だが、3年間の試行錯誤の末、被験者は67人にとどまることになった。

被験者の人数が制限されると、介入による影響が立証しづらくなるという問題点が生じる。

ジャッカ教授は、結果が「重要」とみなされるためには、食事が睡眠におよぼす影響がそれこそ劇的なものでなければならないとわかっていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、0.25%で利下げ開始可能 その後ペース加

ワールド

米ロ首脳、日本時間16日午前4時30分から会談 終

ビジネス

米企業、債務拡大へ信用契約の柔軟化要求 ムーディー

ワールド

プーチン氏、米はウクライナ和平で「誠実な努力」 核
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 3
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化してしまった女性「衝撃の写真」にSNS爆笑「伝説級の事故」
  • 4
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    マスクの7年越しの夢...テスラ初の「近未来ダイナー…
  • 9
    「ホラー映画かと...」父親のアレを顔に塗って寝てし…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 6
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 7
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 8
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 9
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 10
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中