最新記事
健康

大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】

Common Foods May Lead to Colon Cancer

2024年12月22日(日)08時40分
ハティ・ウィルモス

「超加工食品は、一般的に大豆油、ひまわり油、菜種油(キャノーラ油)などの低コストの種子油や糖質や塩分の多い成分を多用しており、これらが炎症反応を引き起こします」とイエートマン博士は本誌に語る。

超加工食品は工業生産されたもので、家庭料理では利用できない化学合成添加物を含む食品と定義されるが、イエートマン博士は次のように述べる。


 

「スーパーで販売されているパンで、大豆油が主な原料ではないものを見つけるのは非常に困難です。パン、シリアル、ドーナツ、ケーキ、クッキー、チップス、サラダドレッシング、マヨネーズにも当てはまります。また、卵、小麦粉、砂糖、塩以外にパンに含まれている、認識できない成分の数も多く、それには保存料、防カビ剤、着色料などが挙げられます」

さらに本研究が、将来的ながん治療の道を開く可能性があると研究者らは結論づけている。それは「レゾリューション・メディシン(resolution medicine)」と呼ばれる新しい治療法で、炎症を引き起こしやすい食べ物から炎症を抑える食べ物に変えることで、体の治癒メカニズムを回復させるというものだ。

「これはがん治療に革命をもたらす可能性があり、薬物療法だけでなく自然治癒プロセスを活用することを目指しています。慢性炎症に対処し、病気を発症する前に予防するための重要なステップです」

イエートマン博士は食事の選択肢を見直し、食品ラベルを読み、炎症を引き起こす食品を避けることを勧める。

「食事のピラミッド」を再考し、より多くの野菜、より少ない穀物、より多くの魚、そしてグラスフェッド(牧草を食べながら自然環境の中で放牧された)で飼育された肉を摂取すべきであるとし、抗炎症作用があることで知られるオメガ3脂肪酸を優先的に食事に取り入れるよう推奨する。

本研究はアメリカ国立衛生研究所(NIH)の助成を受けている。

【参考文献】
Soundararajan, R., Maurin, M. M., Rodriguez-Silva, J., Upadhyay, G., Alden, A. J., Gowda, S. G. B., Schell, M. J., Yang, M., Levine, N. J., Gowda, D., Sundaraswamy, P. M., Hui, S. P., Pflieger, L., Wang, H., Marcet, J., Martinez, C., Bennett, R. D., Chudzinski, A., Karachristos, A., Nywening, T. M., Cavallaro, P. M., Anderson, M. L., Coffey, R. J., Nebozhyn, M. V., Loboda, A., Coppola, D., Pledger, W. J., Halade, G., Yeatman, T. J. (2024). Integration of lipidomics with targeted, single cell, and spatial transcriptomics defines an unresolved pro-inflammatory state in colon cancer, Gut.

ニューズウィーク日本版 世界最高の投手
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月18日号(11月11日発売)は「世界最高の投手」特集。[保存版]日本最高の投手がMLB最高の投手に―― 全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の2025年

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中