最新記事
健康

大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】

Common Foods May Lead to Colon Cancer

2024年12月22日(日)08時40分
ハティ・ウィルモス
食パン

CordMediaDigitalServices-pixabay

<大腸がんはアメリカで4番目に多いがんで、特に若年層で増加している。「レゾリューション・メディシン(resolution medicine)」について>

超加工食品は体内に炎症を引き起こし、大腸がんのリスクを高める可能性があることを研究者らが最新研究で指摘。この研究は「がん治療に革命をもたらす可能性がある」と考えられている。

がん患者の腫瘍を分析した研究者らは、炎症を引き起こす食品と大腸の腫瘍の成長に潜在的な関連性を発見した。サウスフロリダ大学(USF)の外科学の教授で、タンパ総合病院(TGH)がん研究所トランスレーショナル・リサーチ・イノベーション部門の副センター長でもあるティモシー・イエートマン博士は次のように述べる。


 

「不健康な食事を摂取している患者の体内で炎症が増加していることは広く知られていますが、大腸がんでもこの炎症が見られています。がんは治癒しない慢性の傷のようなものです。毎日、超加工食品を摂取していると、炎症と免疫システムの抑制によって、その傷の治癒力が低下し、最終的にがんの成長を許してしまうのです」

「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」によると、結腸癌と直腸がんの双方を含む大腸がんはアメリカで4番目に多いがんであり、それに関連する死因としても4番目に多い。特に若年層で増加しており、1990年代初頭からほぼ倍増となっている。

今回のサウスフロリダ大学とタンパ総合病院の研究では、食事由来の炎症がその主な原因の1つである可能性が示唆された。

タンパ総合病院で大腸がん患者から採取された162個の腫瘍サンプルを除去、冷凍、分析し、炎症の兆候を調査した。炎症は免疫システムにとって重要な機能ではあるが、炎症を引き起こしやすい食事を摂る人々の中には、炎症が完全におさまらず、弱い炎症が体内で慢性的に継続するケースもあった。

また、腫瘍の内部に炎症を促進する分子が過剰に存在し、治癒を促進する分子が不足していることも観察された。したがって、体内での炎症が腫瘍の発生を引き起こし、さらに炎症を引き起こしやすい食品を摂取することで悪化する可能性があると結論づけている。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ249ドル安 トランプ関税

ワールド

トランプ氏、シカゴへの州兵派遣「権限ある」 知事は

ビジネス

NY外為市場=円と英ポンドに売り、財政懸念背景

ワールド

米軍、カリブ海でベネズエラ船を攻撃 違法薬物積載=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    トランプ関税2審も違法判断、 「自爆災害」とクルー…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中