最新記事
健康

「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新研究が示す新事実

Higher Testosterone Doesn't Increase Men's Sex Drive

2024年12月9日(月)16時30分
ジェス・トムソン
男性ホルモンの新常識...性欲との関係は薄い? Lance Reis-Unsplash

男性ホルモンの新常識...性欲との関係は薄い? Lance Reis-Unsplash

<男女間の性欲の違いを説明する要因とされたテストステロン濃度に、新しい解釈が加わろうとしている>

世間一般で信じられている通説に反し、テストステロン(男性ホルモン)濃度が高い男性の性欲が必ずしも強いというわけではないようだ。

学術誌『英国王立協会紀要』で2024年11月27日付けで発表された最新の研究論文で、テストステロン濃度の日ごとの変化と、男性が感じる性欲の変化のあいだにはつながりがないことが明らかになった。

興味深いことに、研究者らは、テストステロン濃度と、男性が恋人や配偶者に言い寄るときの熱の入れ方とのあいだに正の関係があることを発見した。この傾向がとりわけ強いのは、男性がパートナー候補を口説き落そうとするときだ。

論文には、「私たちの知見は、テストステロンと性欲の間にある日々の関連性に関して、まったく新たなエビデンスを提供するものだ。テストステロン濃度が最小閾値を超えても、性欲が増加するわけではないことを示している」と書かれている。

「ヒトの男性においては、テストステロンの役割が進化し、性欲より求愛活動との関連がより密接になっているという説を私たちは提唱する」

テストステロンは、おもに男性の精巣で生成されるホルモンで、女性でも少量ながら卵巣で生成される。男性のテストステロン濃度は、平均して女性の10倍から20倍だ。

思春期に入ると、テストステロンは男性の第二次性徴の発現を促す。これにより、ひげや体毛が生えたり、声が低くなったり、筋肉量や骨量が増加したりする。女性の場合は、テストステロンによって骨密度や筋力の増加が促される。

男性のテストステロン濃度の高さはしばしば、男女間で性欲が異なる理由のひとつだとされてきた。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

良品計画、11月中国の既存店・オンライン売上は前年

ビジネス

アマゾン、インドに350億ドル超投資へ AIや輸出

ワールド

ウクライナのGDPワラント債再編案、主要債権者グル

ビジネス

日経平均は反落、朝高後は利益確定 米FOMC前で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 4
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 5
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 6
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中