最新記事
健康

老化物質AGEを減らす調理法は?...最新科学が解き明かす「老けない食べ方」とは

EATING FOR LONG LIFE

2024年12月5日(木)18時42分
井口景子(ジャーナリスト)
野菜と化学のイメージ

WILDPIXEL/ISTOCK, ILLUSTRATION BY KRULUA/ISTOCK (BACKGROUND)

<日本食は「1点」を除けば「ほぼ完璧な食事」──老化物質を減らす調理法から世代別の重点ポイントまで、超高齢化時代を健康に生き抜くための食生活の新たな常識>

ニンニクを毎日食べれば感染症にかからない──古代エジプト人はそう信じて、ピラミッド建造に従事する労働者に毎日、ニンニクを支給していた。王族もニンニクを常食とし、ツタンカーメン王の墓には複数の球根が収められた。

ローマ帝国では胃腸の調子を整える健康食としてキャベツが重宝され、中世フランスでは呼吸器疾患の予防薬としてカタツムリが食された。


古今東西、人類は不老長寿を夢見て、身体にいい食べ物を探し求めてきた。人生100年時代を迎えた現代人にとっては、老化の波に負けず、人生の後半戦も健康体を維持したいという願いはなおさら切実だ。

2800組以上の双生児を長期間追跡したデンマークの研究によれば、寿命を左右する要因のうち遺伝の影響はおよそ25%で、残りの75%は食事や運動などの生活習慣や環境に起因していた。

なかでも食事は年間1000回以上という日常的な選択の積み重ねであり、短命と慢性疾患リスクの「最大の予測因子だ」と、老化の専門家で米エール大学予防医学センター元所長のデービッド・カッツは指摘する。「逆に言えば、食生活の質が高ければ、活力に満ちて長寿だろうと予測できる」

厄介なのは、食事の質は多種多様な食材が複合的かつ長期的に絡み合って決まるため、「これを食べれば長生きできる」という単純な図式が成立しないこと。

さらに、運動や睡眠、ストレス、個人の体質など幅広い要因とも互いに影響し合うため、万人向けの完璧なレシピを特定するのはそもそも無理な話だ。

それでも、人類が経験したことのない超高齢化時代が到来するなか、老化関連の研究は巨額の資金が流れ込む最もホットなテーマの1つ。

遺伝子レベルの研究からAI(人工知能)を用いたビッグデータ解析までさまざまな最先端科学によって、長寿と食べ物の関係や健康寿命を延ばす具体策が明らかになりつつある。

注目が高まっている老化因子の1つが、細胞を構成するタンパク質の「糖化」だ。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中