老化物質AGEを減らす調理法は?...最新科学が解き明かす「老けない食べ方」とは

EATING FOR LONG LIFE

2024年12月5日(木)18時42分
井口景子(ジャーナリスト)

ほかにも、遺伝子診断や腸内細菌叢(そう)の検査によるリスク予測、皮膚に蓄積したAGEを測定する医療機器、細胞の酸化ダメージを評価する酸化ストレス検査など、現状を知るためのサービスは幅広くある。

こうした検査の精度がさらに高まれば、いずれは一人一人の体質や健康状態に合わせたオーダーメイドの食事アドバイスが当たり前になる日が来るかもしれない。


医療の分野では既に個人の遺伝情報に合わせて治療法を選ぶ「精密医療」が普及しており、その波は栄養学の世界にも迫っている。米国立衛生研究所(NIH)は2020年から10年間の重点戦略として、各自の遺伝子や腸内細菌叢に応じて最適な食事を特定する「精密栄養」プロジェクトを立ち上げた。

ただ、どれだけ科学が発達しても、最後の関門は自分がアクションを起こすかどうかだ。厚生労働省の調査では、健診で血液検査を受けたものの、その結果を認識していない人が3分の1を占め、食生活の改善や医療機関の受診など必要な対応を取れていないことがうかがえる。

死者数に対する突然死(大半が心疾患と脳血管疾患)の割合が40~45歳で特に高いのも、仕事や家庭の責任が重い世代で、小さな変化の兆しを見過ごしがちなことが一因かもしれない。

さらに、最近は60代以降も働き続ける人が増え、自分の健康管理をつい後回しにしてしまう傾向が高齢世代でも強まっていると専門家は危惧する。

だからこそ、まずは目の前の食事から。年間1000回以上の積み重ねは、良くも悪くも必ず未来を変えるはずだ。

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