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便秘にサラダは無駄? 専門医が解説、本当に便秘にいい食べものは

2021年1月12日(火)06時49分
前田 孝文(医師、辻仲病院柏の葉 便秘外来 臓器脱センター医長) *PRESINDENT Onlineからの転載

便秘には野菜がいいとよく聞きますが、多くの患者を診てきた医師の前田孝文さんは「野菜なら何でもいいというわけではない」と指摘します。Deagreez - iStockphoto

<便秘には野菜がいいとよく聞きますが、多くの患者を診てきた医師の前田孝文さんは「野菜なら何でもいいというわけではない」と便秘外来で指摘します。便秘に良い食べ物は何か、そして効果的なトイレの姿勢について解説します---->

※本稿は前田孝文『男の便秘、女の便秘』(医薬経済社)の一部を再編集したものです。

ダイエットがきっかけになることも

若い女性によくあるのですが、ダイエットなどをして食事量が減ると腸が動きにくくなり、便秘になります。

便が出ないと、「食事を摂れば摂るほどお腹に溜まってしまって、お腹がポッコリ出てくるので食べたくない」「食べ過ぎると便が詰まって出なくならないか不安」と考える人もいます。食事による便秘悪化が心配なので、「食べない方が楽だ」という考え方です。

確かにその通りなのですが、食事を減らして便秘が悪化しなかったとしても、良くなることはありません。やはり食事はしっかりと摂ることが便秘治療のためには大事です。どんな食事をどのように摂ればよいかを考えましょう。

朝食が重要なワケ

もし食事の量を増やしたくないのであれば、朝食だけはしっかり摂りましょう。1日3食の中で、朝食が一番大事です。朝食後に大腸の大蠕動が一番起こりやすいからです。

大蠕動は腸が大きく動き、便を肛門の方へ押し出していく動きです。大蠕動は1日に何回かしか起こらないのですが、朝食を食べた後が一番起こりやすいのです。大蠕動が起こると、奥にあった便が肛門近くまで下りてきます。これによって便意を感じるので、そのタイミングでトイレに入る習慣をつけることがとても大事です。

朝食をしっかり摂るためには、朝きちんと起きて余裕を持って行動することが大事になります。そのためには夜も十分に睡眠をとる必要があります。このようにゆったりと朝を過ごすこと、夜に十分寝ることは、腸の動きを調節する自律神経をリラックスさせるためにも重要です。

生活のリズムを整えリラックスすること、朝食をしっかりと食べて大蠕動を促すこと、さらには食後にトイレへ入る時間の余裕を作ること、これらはとても大事です。しっかりと生活のリズムを作らないと実行できませんが、最も大事です。

便秘にサラダは無意味だった

便秘外来を受診する患者さんの多くは、食物繊維が便秘に良いと知っています。そして実際に食物繊維を摂ろうと努力しています。しかし、どんな食事をしているか尋ねてみると、野菜サラダなどの生野菜をたくさん摂っている人が多いことに気づきます。これは便秘の治療という点では効果がありません。

「便秘といえば食物繊維」=「野菜をたくさん」=「レタスやキャベツなど葉物野菜」=「サラダ」とイメージされている方が多いと思います。実は便秘の解消に葉物野菜はあまり役に立ちません。なぜなら便秘解消に役立つ食物繊維は、腸内細菌の活動を活発化させる水溶性食物繊維であり、レタスなどの葉物野菜にはあまり含まれていないからです。

葉物野菜には不溶性食物繊維が多く含まれます。野菜のスジなどはまさに不溶性です。確かに不溶性食物繊維を多く摂ると便の量が増え、便の形がしっかりします。大腸の動きが正常の人はこれで便秘は良くなります。

しかし、多くの人は大腸の動きが弱いタイプの便秘です。不溶性食物繊維を多く摂ると便は増えますが、大腸の動きは良くないので、余計に便が詰まってしまいます。食物繊維を摂っても便秘が良くならない理由の一つは、摂っている食物繊維の種類を誤っていることです。

不溶性食物繊維ではなく、水溶性食物繊維を多く摂ることが必要になります。

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