なぜ自由を叫ぶ者が奴隷を飼った? アメリカの原罪と高貴な理想の衝突を描くドキュメンタリー
The Story of US

人類初の大いなる実験
全12時間のシリーズは11月16日に初回放送を迎える。90年の『南北戦争』と同じように、6夜連続で毎回2時間ずつ放送されるが、PBSでは16日から全話のストリーミング配信も行う。かつてバーンズが生み出した「一気見」のスタイルを、現代の視聴習慣に合わせて更新した形だ。
制作する上で最も難しかったことの1つは「物語を生き生きと再現する」作業だったと、バーンズは言う。戦争当時はカメラが発明される半世紀前だったため、サミュエル・アダムズやパトリック・ヘンリーといった革命の英雄の姿も、戦場で命を落とした無数の若者の姿も、戦いの中で5人の息子を失ったコネティカット州の先住民モヒガン人の女性レベッカ・タナーのような無名の人々の姿も写真や映像には残っていない。
「戦争で彼女ほどの悲嘆を経験した人を、私は知らない」と、バーンズは言う。この作品ではタナーのような無名の人々を多く取り上げ、「下から見た物語」を描いている。
ショート動画やAI(人工知能)が作ったコンテンツがあふれる現代において、バーンズが歴史家へのインタビューや再現映像、静止画だけで観客の注意を引き続けること自体が驚異的だ。それはニューヨークのブルックリン橋を題材にした初監督作以来、彼が磨き上げてきた技でもある。





