懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?

Under Unpredictable Censorship

2025年12月19日(金)12時22分
はちこ(「現代中華オタク文化研究会」サークル主)

人気ジャンルを前面に出す

このように中国BLの創作はさまざまな国から栄養を吸収してきたが当然、SFや推理、デスゲームなど国内の人気ジャンルも源となる。戦略的にそれらを前面に出すのは、BL単独では「ジャンル」として商業化が難しい中国ならではのアプローチだろう。

中国のBLが一般に浸透し、商業的な成功を収めたのはここ数年のことだ。14年頃から中国本土ではアイドル産業が台頭し、18年にかけてオーディション番組やBL実写ドラマが大ヒット。


これにより、男同士のペアリングを好み、金銭や時間を投入して応援したい若い女性が多数存在する事実が可視化された。推し活文化とオタク文化が融合し、カプ(カップリング)推しを特徴とする新たなBL文化が誕生したのだ。

日本で推し活文化は、しばしばオタク文化の文脈で語られる。しかし中国では、長らくアイドルの推し活文化vs.オタク文化という対立構図が存在していた。

アイドルファンは常に推しの「破圈(一般層への浸透)」、すなわちファンコミュニティーを超えた影響力を求め、そのためにしばしば組織化する。

SNS時代になりこの組織化は容易に可視化され、ファンの購買力やいいねやリツイートといった行動が、アイドルや俳優の市場価値を左右するようになった。制作側・事務所側もファンの声を重視して、コンテンツを供給するようになる。

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