アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、笑いとアクション満載
A Timely Masterpiece

今まで寝かせておいて良かった理由はほかにもある。
アメリカの現状に、これほど重なる映画はない。スクリーンでも劇場の外でも、忍び寄るのは同じ脅威だ。独裁政権が台頭し、移民が住む地域を武装警官隊が襲撃し、監視社会化が進み、権力を持つ白人の男たちは怪しい結社をつくって純血主義を提唱する。
全162分の映画は、幕開けからアドレナリン全開で突っ走る。
革命組織「フレンチ75」がメキシコとの国境沿いにある移民収容施設に潜入、爆破物担当のパット(レオナルド・ディカプリオ)が爆弾を仕掛ける。
恋人で血の気の多いペルフィディア(テヤナ・テイラー)は施設内を偵察し、有色人種を忌み嫌う残虐な軍人ロックジョー大佐(ショーン・ペン)と遭遇する。
白人至上主義の男にはありがちだが、ロックジョーも黒人女性に異常な執着心を持つ。その性癖を見抜いたペルフィディアは彼に銃を突き付け、エロチックな支配と服従のゲームに引き込む。
間もなくペルフィディアは組織のメンバーたちと銀行強盗に失敗し、逮捕される。ロックジョーとの取引に応じて仲間を裏切り、パットと生後間もない娘を捨てて行方をくらます。





