最新記事

世界に挑戦する日本人20

世界は「届かないとは思わない」YOSHIKIが語る日本エンタメ界の現在地と、LAで挑戦を続ける訳

2022年9月2日(金)13時15分
YOSHIKI(アーティスト)
YOSHIKI

ロサンゼルスを拠点に活動するYOSHIKI PHOTOGRAPH BY TAKAHIRO IGARASHI (SIGNO) FOR NEWSWEEK JAPAN, HAIR AND MAKEUP BY TOSHIHIRO TAKAKI (SEED&BEAUTY), STYLING BY YOSHIYUKI OKUMURA (A STYLE INC.)

<世界の最前線で戦い続ける数少ない日本人アーティストの1人であるYOSHIKI。ロサンゼルスに移住して30年目に当たる今年、YOSHIKIが本誌に語ったX JAPANの海外進出と、ゆずれない生き方とは 【特集 世界に挑戦する日本人20】より>

これまで世界に活動の場を広げてきた日本のアーティストはあまたいるが、なかでもロックバンドX JAPANのリーダー、YOSHIKIはひときわ異彩を放つ存在だ。

YOSHIKI(ドラム、ピアノ)が幼なじみのToshl(ボーカル)とXを結成したのは1982年のこと。87年にはHIDE(ギター)、PATA(ギター)、TAIJI(ベース)というメンバーで活動を開始し、異色のビジュアル系ロックバンドとして日本で熱狂的な支持を得る。
20220906issue_cover200.jpg

そして人気絶頂にあった92年、TAIJIの脱退とHEATH(ベース)の加入、また米アトランティック・レコーズと契約し、X JAPANと改名して世界進出することが発表された。

しかし97年、Toshlが脱退しバンドは解散。翌年にはHIDEの急死という悲劇に襲われたが、X JAPANはインターネットを通じて世界各地に熱狂的なファンを生んでいく。

07年に再結成すると、09年のSUGIZO(ギター)加入を経て、14年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)、17年にはロンドンのウェンブリー・アリーナで単独公演を行った。

X JAPANは、この年にロックの殿堂ウェンブリー・アリーナで開催された最も優れた公演に与えられる賞「17年度 SSEアリーナ・ライブアワード」を受賞。翌年、世界最大級のアメリカのフェスである「コーチェラ・フェスティバル」にヘッドライナーとして出演した際には、米メディアに絶賛された。

YOSHIKI自身は、世界進出を決めた92年以来、自宅とスタジオを持つロサンゼルスを拠点に活動を続けている。ハリウッド映画のテーマ曲や、米ゴールデングローブ賞の公式テーマ曲を手掛け、2020年にはロックバンドU2のボノや米歌手ジェニファー・ハドソンらとコロナ禍の終息を願う新曲を発表するなど、世界的ミュージシャンと肩を並べ活躍する。

09年には最高級カリフォルニアワイン「オーパス・ワン」を手掛けた名醸造家ロバート・モンダヴィの孫であるロブ・モンダヴィJr.とタッグを組み、ワインブランド「Y by YOSHIKI」を立ち上げた。今秋には新たにシャンパンもプロデュースし、実業家としても新境地を切り開いている。

YOSHIKIはなぜ、挑戦をやめないのか。ロサンゼルスに移住してからちょうど30年目に当たる今年、一時帰国中の彼に世界進出の原点から話を聞くと、そこで語られたのは挑戦を「業(ごう)」とするYOSHIKIの生き方だった。

◇ ◇ ◇


92年、国内アーティストとして史上初の東京ドーム3日間公演を行うなど人気絶頂期にあったXは、「X JAPAN」と改名し世界にチャレンジすることを決めた。

「Xとして、海外進出というのは常に視野にあった。だけどまずは日本で成功しなければ、と思っていた。デビュー当時は、日本の音楽業界に反発する気持ちでやっていたところもある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、対ウクライナ25億ドル追加支援発表 ゼ

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中