最新記事

BOOKS

名だたる作家が快諾する海外文学ガイド「BOOKMARK」の執筆依頼状を公開

2019年10月27日(日)10時35分
金原瑞人(法政大学教授、翻訳家)

フリーペーパー「BOOKMARK」第1号から第12号の表紙。7500部が刷られ、書店やカフェに無料配布されるが、すぐになくなってしまい入手困難になる

<海外文学をそれぞれ翻訳者自らが紹介する人気のフリーペーパー「BOOKMARK」。各号の巻頭には著名作家のエッセイが載るが、どうやって依頼しているのか。編者が明かす>

2015年に創刊したフリーペーパー「BOOKMARK」の第1号から第12号までが単行本にまとめられ、このたび『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK』(金原瑞人・三辺律子 編、CCCメディアハウス)として出版されました。204冊の作品を紹介し、江國香織さんや星野智幸さん、町田康さん、村上春樹さんらによるエッセイも収録した1冊です。

「BOOKMARK」は海外文学の紹介冊子で、毎号テーマを決めて、そのテーマにそった作品16冊を紹介しています......というふうに、いちいち説明するのが面倒なので、第14号の巻頭エッセイの依頼状をそのまま貼りつけます。というのも、ここに、この冊子ができた経緯も、目的も、第1号からの足取りもすべて書かれているからです。


あさのあつこさま

ごぶさたしておいて、いきなりお願いです。

「BOOKMARK」という小冊子の第14号(Against)の巻頭エッセイをお願いしたく、メールを差し上げました。(Against)というのは、「反抗、抵抗」というふうな意味をこめたタイトルです。

あさのさんの作品の多くがこのテーマに関わっているように思い(とくに『No.6』など)、今回、ぜひエッセイをご依頼する次第です。

「BOOKMARK」は海外の翻訳作品の紹介冊子で、とくに若者に読んでもらいたい作品を中心に取り上げています。サイズはCDケースの大きさで、全24頁。1頁に1作ずつ、合計16冊紹介します。部数は7,500。編集協力者は翻訳家の三辺律子さん。表紙・デザインはオザワミカさん。金原の個人冊子で、スポンサーはなく、無料配布。書店やカフェで、海外小説の宣伝や販売促進に使っていただいています。また、全国2000館の公共図書館にも送っています。

現在13号まで出ていて、内容は以下の通りです。

第1号「これがお勧め、いま最強の17冊」、現代青春小説の特集
第2号「本に感動、映画に感激」、原作もおもしろい、映画もおもしろい作品の特集
第3号「まだファンタジー? ううん、もっとファンタジー!」、ファンタジーの特集
第4号「えっ、英語圏の本が1冊もない!?」、英語圏以外の本の特集
第5号「過去の物語が未来を語る」、歴史物の特集
第6号「明日が語る今日の世界」、SFの特集
第7号「眠れない夜へ、ようこそ」、ミステリ・ホラー特集
第8号「やっぱり新訳!」、新訳特集
第9号「顔が好き」、装幀特集
第10号「わたしはわたし、ぼくはぼく」、LGBT特集
第11号「Listen to Books!」、音楽特集
第12号「これ、忘れてない?」、戦争特集
第13号「絵+字で、無敵!」、グラフィックノベル特集

(ちなみに巻頭エッセイ執筆者は、①江國香織、②ひこ・田中、③松岡佑子、④東山彰良、⑤深緑野分、⑥星野智幸、⑦恒川光太郎、⑧町田康、⑨川名潤、⑩松田青子、⑪村上春樹、⑫佐藤亜紀、⑬小野耕生のみなさんです)。

どの号も多くの書店から申し込みをいただき、フェアなども開催され、大きな反響がありました。配布店/関連フェア店リストについては、http://www.kanehara.jp/bookmark/をご覧下さい。

第14号は(Against)「反抗、抵抗」特集で、紹介しようと考えているのは以下のような作品です。【以下、具体的な書名、訳者、出版社が続くのですが、それは省略】

お忙しいのは重々承知しているのですが、ぜひ、ご執筆ください。

巻頭エッセイ、詳細は以下の通りです。
・800字程度
・御自作にからめてご自由に。
・締め切りは4月15日(月)のつもりですが、応相談です。
・第1号から第12号についてはhttp://www.kanehara.jp/bookmark/をご覧ください。PDFで読めます。
・また、冊子がなくなると金原のHPにPDFで載せることも、あわせてご了承ください。

ご返事、お待ちしています。

こんなお願いのメールを出したところ、あさのさんからすぐにOKの返事をいただきました。一方で、その号で取り上げる本の紹介文を、訳者の方にお願いし、出版社の編集者の方には書影を送っていただいたり、とまあ、こんな感じで毎号、作ってます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低

ビジネス

日本企業の政策保有株「原則ゼロに」、世界の投資家団

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中