最新記事

映画

日韓関係悪化のさなかアジアを代表する釜山国際映画祭開催 日本映画はどうなる?

2019年9月25日(水)19時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

釜山国際映画祭の今年のポスターはアジア各国の国旗の配色を取り入れたもの。映画祭公式ツイッターより

<アジア最大級の映画の祭典、釜山国際映画祭が間もなく開催される。例年、日本の映画関係者も多数招待される映画祭だが、日韓関係悪化の影響は......>

今年も10月3日から9日間、韓国・釜山市で「釜山国際映画祭」が開催される。今年は、韓国映画100周年という記念すべき年でもあり、韓国映画史100年を振り返る特別上映なども準備されている。映画祭の発表したラインナップによると、今年は89カ国から選りすぐりの303作品が上映される予定だ。これまで海辺の観光地として有名な海雲台エリアで行われていたイベントも、今年から映画館が集まる内陸側で行われることとなり、にぎわいがさらに増しそうだ。

10月からの映画祭に先立って、9月2日には映画祭公式ポスターが発表され話題となった。ポスターはその年のイメージを象徴する、いわば映画祭の顔である。

これまでの釜山国際映画祭のポスターを振り返ってみると、韓国の伝統工芸をクローズアップにしたようなイメージ写真や、一本の松の木が中心のモノクロ写真など、アジアらしさが色濃く表れているものが多かった。去年のポスターは、4枚で1組になっており、コミカルな小さな顔のイラストが敷き詰めるように描かれていて、4枚合わせると「BUSAN」と読めるようになっている趣向を凝らしたものだった。さて、韓国映画100周年にあたる今年のポスターはどのようなデザインになっているだろうか。また、そこにはどんな意味が込められているのだろうか。

 

真っ黒な背景に1枚の鮮やかな布が揺れている。去年とはまた正反対に、シンプルながら鮮やかなインパクトが残るポスターだ。実はこの色彩には意味があり、アジア各国の国旗の配色を取り入れて作られたという。

釜山国際映画祭はこれまでアジアを代表する映画祭と謳い続けてきた。アジア人監督作品を上映するコンペティションNew Currents賞を設けたり、「アジア映画の窓」セクションで数多くのアジア映画を上映したり、長年アジア映画の発展のために尽くしている。映画祭と並行して行われる映画の見本市「アジアンフィルムマーケット」にも、しっかりとアジアの名前がついていることからもその意思が読み取れる。

このポスターを初めて見た時、そんなアジア映画の中心映画祭という看板を背負っていく意気込みと力強さが反映されているように感じた。

映画祭側はポスターデザインに関して「1996年からアジア映画を発掘、紹介してアジア映画のビジョンを模索するという釜山国際映画祭の根本主旨と意味を盛り込んでいる」と語っている。まさに、アジア映画を引っ張り続ける釜山国際映画祭にふさわしいポスターと言えるだろう。


20191001issue_cover200.jpg ※10月1日号(9月25日発売)は、「2020 サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 

ワールド

インドのロシア産石油輸入、減少は短期間にとどまる可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中