最新記事

映画

『ソーシャル・ネットワーク』製作の裏側

今年の映画賞レースを席巻しそうな『ソーシャル・ネットワーク』の脚本を手がけたアーロン・ソーキンに聞く

2011年1月17日(月)14時30分
大橋 希(本誌記者)

成功と裏切り ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ、右)は、フェースブックの共同創設者エドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)から後に告訴される ©2010 Columbia TriStar Marketing Group, Inc. All Rights Reserved.

 ハーバード大学生のマーク・ザッカーバーグが04年に創設したフェースブックは、今や世界最大のSNS。その舞台裏を解き明かす映画『ソーシャル・ネットワーク』は、ザッカーバーグの抱える訴訟を背景にさまざまな人間ドラマを見せてくれる(デービッド・フィンチャー監督、日本公開中)。

 脚本のアーロン・ソーキンは、大ヒットドラマ『ザ・ホワイトハウス』や映画『ア・フュー・グッドメン』『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』など、男と権力をテーマにした優れた脚本を手がけてきた。『ソーシャル・ネットワーク』でも、冒頭から突っ走るテンポのいい展開、時間軸と視点をずらした立体的な構成で観客を引き込んでいく。本誌・大橋希が話を聞いた。

──企画書の最初の3ページを読んだだけで、脚本を書こうと決めたとか。

 そう、そんな事はこれまでになかった。ただ、フェースブックだから引かれた訳じゃない。自分はテクノロジーに関心がある人間ではないし、フェースブックを使ったこともなかった。友情あり、忠誠心あり、裏切り、嫉妬、権力ありの、何千年も前から語り継がれてきたような古典的な物語が、現代的な背景の中で繰り広げられるところが魅力的だった。

──フェースブックのアカウントは持っている?

 契約書にサインしたときに作ったけど、撮影終了後にはやめたよ。

──それで何か楽しいチャンスを逃しているかも、と思ったりはしない?

 ノー、まったくないね。

──観客としては、映画のどこまでが本当の話なのか気になる。

 これは真実の物語だ。リサーチで分かったことをセンセーショナルにしたり、ハリウッド的にするために作り替えたりはしていない。もちろん、せりふや場面展開は脚本家の私が作ったものだ。それに私や俳優、監督それぞれの視点も入っている。

 ドキュメンタリー作品と違う点といえばまず第一に、不利益が及ばないように名前を変えた人物がいること。2人の人物を1人にして描いた部分もある。それと、ラシダ・ジョーンズ演じる弁護士だけは創作した。観客の視点に立つような人物が必要だと思ったからだ。

 これはまだ生きている人、それも若い人たちについての話だし、ハリウッド映画の影響力は大きいからあまり軽々しいことは出来ない。多くの法律専門家に確認しつつ慎重に脚本を進めていった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏小売売上高、9月は前月比0.1%減 予想外

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22

ビジネス

ドイツ金融監督庁、JPモルガンに過去最大の罰金 5

ビジネス

英建設業PMI、10月は44.1 5年超ぶり低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 5
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 6
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 7
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 8
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 9
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中