最新記事

テレビ

リアル過ぎてヤバいドラマ

2010年2月25日(木)13時37分
ジョシュア・オルストン(エンターテインメント担当)

 時事問題を盛り込んだドラマの製作者は、彼と同じ悩みを抱えているに違いない。ドラマが国民の気分をストーリーに反映するだけでなく世論に大きな影響を与えるようになったら、事実に反する内容が大問題になる恐れがある。

 これは大統領とその側近らを描いた『ザ・ホワイトハウス』が人気を集めた時期に直面した問題でもある。性的スキャンダルを起こしたビル・クリントン大統領(当時)を批評する際、このドラマの主要登場人物である高潔なバートレット大統領(マーティン・シーン)がよく引き合いに出されたものだ。

現実離れも批判の的に

『24』への評価はアメリカ人が実際に抱いている危機感のレベルに左右されてきた。07年のシーズン6で扱われた脅威は、現実社会の危機感のレベルを超えてしまった。

 フィクションとはいえ、アメリカで核兵器が爆発してしまうのだ。筋書きとしては問題なかったが、視聴者の目には荒唐無稽に映った。ジャックの英雄的行為を強調するための設定にしては、やり過ぎの感があった。

 そのせいかシーズン7の冒頭で、ジャックは過去に行った拷問などについての責任を上院公聴会で追及される。『24』は勇み足を認めたようだ。

 『V』は4話が放送された後、放映が中断された。テレビ局幹部が政権批判と受け取られることに不安を募らせていたという話もある。

 現実離れしていても批判されるし、リアル過ぎても物議を醸す。ドラマ作りは難しい。    

[2010年2月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕 標的リストに知事

ビジネス

米FRB、金利は据え置きか 関税問題や中東情勢不透

ワールド

豪中銀、金融政策委の投票内訳開示の方針

ワールド

イランの報復攻撃にさらされるイスラエル、観光客4万
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中