余命を知ったときに残るものとは...美学者は世界をどう切り取り、愛したか?
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病院のベンチに座り老婆の前で白髪混じりの男性が酔ったような声でつぶやく。
「お母さん、ぼくはもう疲れました。生きているのもつらいです......」
彼が震わせる頭を言葉もなく撫でる車椅子の老婆。
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わたしが愛したものたち。そのすべてのものを、わたしは依然として愛している。以前よりもっと、もっと深く......。これだけは間違いない。
美学者の言葉
2017年7月、がんの宣告を受けた。それまで続いていたすべての日常生活は、シャッターを下ろしたように中断された。病院での闘病生活が始まり、患者としての日々が始まる。
あれからちょうど13ヶ月。この書は、その間に私の体と心、そして精神を通り過ぎていった小さな出来事の記録である。患者の生活およびその生が持つ独自性と権威、ようやく出会い、発見するに至った愛と感謝にまつわる記憶と省察、世間や他者に関する思惟、あるいはただ憮然と目の前を通り過ぎ、心の周辺をうろつき、近づいては遠ざかる無意味な瞬間の連続がこの記録の内容である。
ポール・ヴァレリーとロラン・バルトが書きたがっていたある種の本のように、この記録はもっぱら自分だけのために書かれた私的な文章だ。この文章に本の資格はない。しかし一個体の内面、特にその個性が危機に瀕する状況では、個人の主観的な内面も客観的な領域と必然的に重なり得るのではないだろうか。
最も私的な記録を公的な媒体である一冊の本にまとめてみたいという弁明なのかもしれない。だがこの本が、もしも私と似たような、あるいは他の意味合いで危機にさらされた人々にとって、わずかばかりでも省察と慰めの読書になるならば、それは必ずしも弁明だけに終わらないであろう。
キム・ジニョン(Jinyoung Kim)
哲学者/美学者 高麗大学ドイツ語独文学科と同大学院を卒業し、ドイツのフライブルク大学大学院(博士課程)留学。フランクフルト学派の批判理論、特にアドルノとベンヤミンの哲学と美学、ロラン・バルトをはじめとするフランス後期構造主義を学ぶ。小説、写真、音楽領域の美的現象を読み解きながら、資本主義の文化および神話的な捉えられ方を明らかにし、解体しようと試みた。市井の批判精神の不在が、今日の不当な権力を横行させる根本的な原因であると考え、新聞・雑誌にコラムを寄稿。韓国国内の大学で教鞭をとり、哲学アカデミーの代表も務めた。バルト『喪の日記』の韓国語翻訳者としても知られる。

『朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』』
キム・ジニョン[著]
小笠原藤子[訳]
CEメディアハウス[刊]
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