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SDGs

スイスのフライターグ 循環型社会への取り組みを強化

2026年1月29日(木)10時50分
岩澤里美 (スイス在住ジャーナリスト)
團の松花堂弁当

工場のビルには店舗もある。タープがトラックで使われていた時の写真も飾ってあった(撮影=筆者)

<世界に1つだけのデザインを生む職人技と環境配慮の徹底した取り組みとは>

使い古したトラックのタープ(幌。荷台を覆う布)を再利用したスタイリッシュなバッグのブランド、「フライターグ」は日本でも人気だ(日本には4店)。フライターグ兄弟がスイスのチューリヒで作り始めてから、30年以上が経った。現在も、同市で、プラスチック(ポリ塩化ビニルコーティングしたポリエステル)製のタープから年間約35万点ものアイテムを製造し、世界へ発送している。先日、初めて、その工場を訪れた。環境負荷を減らす同社の取り組みが、今、新たな段階に入っていることを知った。

地元でも、確固たる人気

フライターグは1993年に創業した。環境先進国のスイスでさえ、廃棄されるタープを活かしてバッグを作る、というアイデアがまだ珍しかった時代だ。フライターグは数年で全国的に有名になった。国内の大手小売業者が新品の薄いプラスチック製のコピー品を製造販売したことが、公共放送のニュース番組で伝えられたからだ。

結局、この災いが転じて福となり、模倣品は棚から永久に撤去され、フライターグの人気に火が付いた。当時、チューリヒでは老若男女問わず、同社のバッグを持ち歩く人が本当に多くて驚いたことを覚えている。

今も、フライターグの愛用者は少なくない。初期のモデルを使っている人も見かけ、長い間大切にされていることがうかがえる。同社は、製品を修理して使い続けることを積極的に推奨しており、スイスや日本を含む世界11カ所に、修理拠点(リペアステーション)を構えている。修理件数は年々増加しており、2024年は約1万点に達したという。

また、壊れていなくてもデザインに飽きてしまった人のために、捨てずに無料で交換できるユーザー同士のプラットフォームも用意している。

同社によると、中古のタープでバッグを作ると新しい素材を使用した場合と比べ、CO2排出量を22%削減できるという。

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