最新記事
AI

AIのおかげで世界貿易が2040年までに40%近く増加? 格差拡大のリスクも

2025年9月18日(木)08時25分
AIのイメージ

9月17日、 世界貿易機関(WTO)は人工知能(AI)の導入に伴い、世界の物品・サービス貿易額が2040年まで40%近く増加する可能性があるとの見方を示した。写真はAIのイメージ。1月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

世界貿易機関(WTO)は17日、人工知能(AI)の導入に伴い、世界の物品・サービス貿易額が2040年まで40%近く増加する可能性があるとの見方を示した。

ただ、適切な政策を講じなければ、経済格差が拡大する恐れがあると警告した。年次報告書「世界貿易報告」で見解を示した。


報告書は、AIの導入が貿易コストの低減と生産性の向上につながり、世界の貿易総額が40年までに34─37%増加する可能性があると試算。世界の域内総生産(GDP)も12─13%押し上げられる可能性があるとしている。

WTOのジョアンナ・ヒル事務局次長は「AIは複雑さを増す貿易環境で明るい要因になる可能性がある」とし、AIが世界経済と国際貿易の未来を再構築しており、貿易コストの削減と生産性の向上につながる可能性があるとの認識を示した。

報告書は、企業がAIを通じて物流・規制順守・意思疎通のコストを削減できる可能性があると分析。「AIの翻訳技術は意思疎通の迅速化・コスト効率化につながり、特にグローバル市場への進出で小規模生産者・小売業者が恩恵を受ける」と指摘した。

低所得国がデジタルインフラを改善すれば、輸出の伸びを最大11%押し上げることができるとしている。

一方で、的を絞った投資や包摂的な政策がなければ、AIが格差拡大につながりかねないとし「AIの開発と導入により、多くの労働者、さらには一国の経済全体が取り残される恐れがあるとの懸念が浮上している」と述べた。

その上で、AIの恩恵を広く共有するには、WTOのルールに支えられた予測可能な貿易と、半導体などAI技術に不可欠な原材料の関税引き下げが極めて重要だと主張した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍

ビジネス

ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.3万件減の22万400
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中