最新記事
中国経済

「デフレの罠」最短30分の「即時配送」で進む、中国ECの消耗戦

2025年7月29日(火)13時06分
北京の商店で注文品をピックアップするJDドットコムの配達員

7月25日、 中国の大手電子商取引(EC)プラットフォームが、1時間以内、最短30分で商品を届ける「即時配送」サービスで価格競争を繰り広げている。写真は2024年10月、北京の商店で注文品をピックアップするJDドットコムの配達員(2025年 ロイター/Florence Lo)

中国の大手電子商取引(EC)プラットフォームが、1時間以内、最短30分で商品を届ける「即時配送」サービスで価格競争を繰り広げている。異例なことに政府の批判にも屈する様子を見せず、即時配送は自社の命運を託すほど重要なビジネスと位置付けていることが分かる。

米中貿易摩擦や米国の対中技術輸出規制によって既に打撃を被っている中国経済において、即時配送の価格競争はデフレ圧力を根付かせかねないとして、当局は規制強化も辞さない構えだ。


 

しかしアリババ、京東集団(JDドットコム)、美団の3大ECはここ数カ月で計約2000億元(約280億ドル)を、無料特典やクーポンなど即時販売の特典に投じることを決めた。

関係筋によると、独占禁止当局の国家市場監督管理総局(SAMR)はサービスの過激化を見かね、先週3社に2度目の呼び出しをかけて「政府の政策に沿った合理的な競争」を求めた。

テック・バズ・チャイナのテクノロジーアナリスト、エド・サンダー氏は「正に今起こっている闘いだが、実際には5年、10年先の展望と大いに関連している。(プラットフォーム企業は)この闘いが社の存亡を決しかねないと考えている」と述べた。

人工知能(AI)と自動倉庫の採用によって即時配送の収益性は今後ますます高まり、従来のECを食い荒らすほどになると同氏は見ている。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃

ワールド

シリアで米兵ら3人死亡、ISの攻撃か トランプ氏が

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 10
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中