最新記事
中国

中国経済「危機」の深層...給与24%カットの国有企業社員、あの重要2業界でも未払いや遅延

2025年7月20日(日)18時05分

世界的な貿易摩擦によって圧迫された外需を巡って激しい争奪戦が発生。それが企業の利益を圧迫し、輸出量が増えても工場出荷価格は下落している。そして企業によるコスト削減のしわ寄せを最も大きく被っているのが労働者だ。

張さんが勤めているような国有企業もコスト削減の圧力を受けている。銀行は当局から融資拡大を求められ、金融システムの一部で不良債権が急増している。

不均衡な経済構造は、輸出産業を優遇して消費を後回しにする政策の所産だ。経済学者は以前から中国政府に対して、教育や医療といった内需中心の分野への支援に舵を切り、福祉の充実などを通じて家計消費の喚起に動くよう求め、さもなければ下半期に景気が減速するリスクがあると警告してきた。

コンファレンス・ボード(CB)アジアの上級エコノミスト、マックス・ツェングライン氏は、中国経済は、製造業は強いが消費が弱い「二重速度経済」で、この2つは密接に関連していると指摘する。「収益性の悪化やデフレ圧力といった現在の経済的課題の一部は、主に製造業やハイテク分野における継続的な生産能力拡大が原因だ」と分析。米国との貿易戦争で今起きていることが、結局は中国国内の問題として跳ね返ってきているという。

<所得にしわ寄せ>

中国南部・広西チワン族自治区の人口200万人強の都市、崇左。教師の黄さん(28)はこの2、3カ月、勤務先の学校から給与をもらっていない。学校は自治体からの資金が届くのを待っている。自治区は多額の債務を抱えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

参院選、自公で過半数微妙な情勢と各社報道 首相は続

ワールド

石破首相が続投の方針、「日本の将来に責任」 参院選

ワールド

石破自民との「大連立はあり得ない」=野田・立憲民主

ワールド

国民民主の玉木代表、「石破政権とは協力できず」 続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞の遺伝子に火を点ける「プルアップ」とは何か?
  • 2
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 3
    日本では「戦争が終わって80年」...来日して35年目のイラン人が、いま噛み締める「平和の意味」
  • 4
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 9
    小さなニキビだと油断していたら...目をふさぐほど巨…
  • 10
    イギリスのパブで偶然出会った日本語ペラペラのイン…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 8
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中