最新記事
為替

トランプ関税...市場に根強い「最終的にはドル高」の見方とは?

2025年3月10日(月)18時30分

ウパディアヤ氏は、昨年ドル高をもたらした多くの要素はまだ健在で「ドルは依然として王様だ」と言い切った。

同氏は、実際米国の成長ペースは鈍化の兆しが出ているかもしれないが、なお他の主要国より高いと指摘した。米国の利回りもまだ相対的に高く、世界的な混乱期にはドルが安全な避難先だとの見方も根強い。


 

実際これまでドル弱気派は時期尚早の売りを仕掛けて手ひどいしっぺ返しを受けてきた。過去2年でドル指数は直近高値から5%前後下落した局面が2回(2023年10-12月と24年4-9月)あったものの、両方ともドルは数カ月で値を戻した。

昨年11月の米大統領選後にドルが5%近く上昇したとはいえ、トランプ政権のさまざまな国に対する関税が長期間発動される展開でドルに吹く追い風を、果たして市場が完全に織り込んだのかどうか疑問は残されている。

INGの外為ストラテジスト、フランチェスコ・ペソーレ氏は「特に欧州を標的とする関税は比較的長く適用されると想定する陣営にわれわれは属している」と語り、ユーロがいずれ対ドルで再び軟化し、足元1.08ドルのユーロ/ドルは年末に1.02ドル前後まで下がると見込んだ。

ニューバーガー・バーマンのシニア・ポートフォリオマネジャー、ウーゴ・ランチオーニ氏は、ドルは既に潜在的な上昇余地の大部分が実現しているとの考えから、ドルの戦術ポジションをやや売り持ちに傾けている。

しかし同氏は、貿易戦争が悪化すればドルが下げ幅を縮小する可能性があると言及。「(貿易戦争の)大規模なエスカレーションは恐らく織り込まれていない」と述べた。

UBSのストラテジスト、バシリー・セレブリアコフ氏も「トランプ氏による関税の脅しがある以上、ドル弱気派になるのは難しい」と認めた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権の「敵性外国人法」適用は違法 連邦地裁

ビジネス

伊藤忠商事、今期2.2%増益見込む 市場予想と同水

ワールド

米予算教書、FBIや麻薬取締局の予算削減と関係筋 

ワールド

トランプ氏、2日に予算教書公表 環境・対外援助など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中