最新記事
BOOKS

自著をヒットさせてきたライターが語る「本を出したい」人が知っておきたいこと【出版業界】

2024年9月25日(水)17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
立ち読みする人

商業出版で本を出すには?/pixabay-NoName_13

<「本を出すのに文章力は必要ない」と言うと驚かれるが、本を出すのに文章力はいらない。しかし必要なことがある。何か?>

自分の知見や文章を発信したいビジネスパーソンは多く、その機会も増えた。SNSやnoteが情報発信への参入ハードルを下げ、同人誌を売る文学フリマも盛況だ。とはいえ、出版社から本を出したいとなれば、話は別だ。出版を実現するためのノウハウは、意外と知られていない。

『本を出したい』(CCCメディアハウス)は、「出版社から本を出す」ための方法を解説している。著者の佐藤友美氏は、作家として8冊の単著と3冊の共著を出版し、書籍ライターとして52冊のビジネス書や実用書の執筆に携わってきた。『本を出したい』は前著の『書く仕事がしたい』とあわせて、多数の出版社や編集者、著者と仕事をしてきた経験が惜しみなくシェアされたトリセツとして好評だ。

では、そもそも本を出すとはどういうことか? 『本を出したい』より取り上げる。

※本記事は全3回の第1回(第2回:ベテラン書籍ライターが「本を出したい」なら「100の格言」を書けばいいという理由【出版業界】 / 第3回:「本を出したい」人必見...出版社への企画の持ち込みを成功させるコツ【出版業界】

◇ ◇ ◇

ベストセラーの多くは本人が書いていない

「いつか自分の本を出すのが夢なんです。でも、文章力がないと無理ですよね?」

これまで、数えきれないほどの人から、このような質問をされました。そのたびに、「本を出すのに文章力はいりませんよ。というより、自分で原稿を書かなくてもよいですよ」と、お答えしてきました。

こうお伝えすると、ほとんどの人は驚いた顔をします。そうですよね。私も初めてこの事実を知ったときは、びっくりしました。

これまで、60冊ほどの書籍の執筆に関わってきました。が、私自身もほんの10年前まで、書店に並ぶベストセラー書籍の多くは、本人が書いているわけではないことを知りませんでした。

ビジネスパーソンは本を出す方法が作家とは違う

もちろん、小説やエッセイのような「読み物」のジャンルの書籍を書いているのは著者本人です。こういった書籍は、オリジナルのストーリーや文体など、「その人ならではの文章表現」そのものが価値です。

このような、「文章そのもの」で価値を提供する小説家やエッセイストなどの書き手は、著者の中でもとくに「作家」と呼ばれます。でも、ビジネス書や、自己啓発書、健康本や料理本、メイク本などの実用書は、必ずしも本人が執筆しているわけではありません。

著者となる人の多くは、普段は会社を経営していたり、セミナー業をしていたり、医者だったり、料理研究家だったり、メイクアップアーティストだったりします。つまり「本業」がある人たちです。こういった「その道のプロ」の視点を本にまとめるために、編集者や書籍ライター(ブックライター)と呼ばれる人たちが本づくりの手伝いをします。

ビジネス書や実用書の7割〜8割は、著者のインタビューや講演などをまとめる形、いわゆる「聞き書き」で出版されていると推測されます[注:2019年〜2023年の年間ベストセラーランキング(日本出版販売株式会社サイトより)の、ビジネス書単行本上位10冊と実用書上位10冊(ともに翻訳者、編集部の編者を除く)をもとに独自に調査したデータと、書籍編集者へのヒアリングをもとに推測]。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は5日ぶり反落、米FOMC前の調整で 一時

ワールド

マクロスコープ:自民総裁選、問われる野党戦略 小泉

ビジネス

英CPI、8月は前年比+3.8% 予想と一致

ビジネス

午後3時のドルは146円半ばで上値重い、米FOMC
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中