最新記事
ビジネス

なぜ「管理職は罰ゲーム」と言われるようになったのか...「働き損」の職場は、どうすれば変えられる?

2024年6月5日(水)18時57分
flier編集部

管理職の「罰ゲーム化」を河合薫氏に聞く

マネジメントに進む人には、徹底した「人間的な成熟を促す教育」が必要

──管理職が大変である状況を構造的に変えていくためのカギは何でしょうか。

組織としての解決策、個人としての解決策の2つがあると考えています。

前者は、マネジメント層への「人間の成熟を促す教育」をおこなうことです。中間管理職には感情労働やストレスへの対処に関する知識習得や、部下の育成スキルのトレーニングが必要ですが、日本企業ではそれを管理職本人に任せっぱなしにしていました。

アメリカの企業では、マネジメントに進む道と専門職の道を設けたうえで、マネジメントに進む人には相応のマネジメント教育を徹底しています。かつてGE(ゼネラル・エレクトリック)の人事評価制度が有名になりましたが、評価をするからには教育も必要です。実際に関わった人たちに何度かインタビューしましたが、人間的な成熟を促す教育がかなり重視されていて、「自分のためでなく、組織やチームのためにやる」「人間の中身を磨く」など仕事ができるだけではマネジメントは務まらないという認識が共有されていました。

管理職は未来の社長候補・幹部候補なので、経営のことも学ばないといけない。そうした管理職を一人生み出すことはとても時間がかかることです。管理職になった人たちに必要なのは、「学ぶ機会=自分を知る機会」です。自分の強みや弱み、未熟な部分を知らないと、他人に自信をもって言葉をかけられないし、他人を育てることもできないでしょう。

──「自分を知る機会」ですか。リーダーには「セルフアウェアネス(自己認識)」が欠かせないというお話と重なるように思います。

人は他人を通じてしか、自分のことがわかりません。目の前の他者は自分の鏡です。

例えば、自分と同じ様な立場の他社の管理職たちと、彼らがどのように部下と接しているかを話しあうだけでも、気づくこともあるでしょう。私は中間管理職向けのセミナーで、いつも上司部下面談のロールプレイをやるのですが、すごく盛り上がります。「自分はこんな風に部下と向き合ってない」と反省したり、参考にしたりするようです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ダライ・ラマ、後継者計画を発表へ 90歳の誕生日控

ワールド

インドの対米通商交渉、農業は「譲れない一線」=財務

ビジネス

飲食料品の値上げ、7月は2105品目で前年比5倍=

ワールド

米上院、税制・歳出法案の審議進める 30日に修正案
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    メーガン妃への「悪意ある中傷」を今すぐにやめなく…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 7
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 8
    自撮り動画を見て、体の一部に「不自然な変形」を発…
  • 9
    突出した知的能力や創造性を持つ「ギフテッド」を埋…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中