最新記事

投資

大損したテスラ株依存ファンド 反転攻勢の戦略にも暗雲

2023年1月7日(土)11時53分

今のところ、最も熱心なテスラ支持者らが、同社に愛想を尽かしている様子はほとんど見られない。著名投資家キャシー・ウッド氏のアーク・イノベーションETFは3日の株価急落時にテスラ株を14万4776株買い足し、運用資産59億ドルにおける組み入れ比率が約6.5%に達したことがウェブサイトで分かっている。このファンドは昨年67%下げ、全ての米株式ファンドの中で運用成績が最低に近かった。

テスラ株を約5.3%組み入れるタナカ・グロース・ファンドのグレアム・タナカ氏も、テスラはバッテリー技術が卓越しているため、長い目で見れば株価がアウトパフォームするだろうと言う。

「ツイッターは一時的とはいえ、大いに気が散る要因となっている。マスク氏が能力に余ることに手を出したのは残念だ。だが、テスラの運営と将来の成長見通しが、傷ついたわけでは全くない」とタナカ氏は語った。

テスラが中国トップのTom Zhu氏を昇進させ、米組立工場や北米および欧州の営業部門を直接管轄させると決めたことも、良い影響をもたらしそうだ、とタナカ氏は指摘した。

リフィニティブEikonのデータによると、テスラ株の2018年から21年末にかけてのトータルリターンは1700%と、S&P500種総合指数の90%をはるかにしのいでいた。

従来の戦略のままでは失敗する恐れ

しかし、年単位の運用成績に着目する資産運用会社は、競争が激化し需要が弱まる中で、テスラ株に固執する気が失せるかもしれないとアナリストは言う。

データ分析会社・ベットファイの調査責任者、トッド・ローゼンブルース氏は「過去数年間のテスラ株の華々しい上昇は、多くのファンドの株主に恩恵をもたらした。だが、投資額を縮小しないまま従来の戦略を維持すれば、今度は失敗につながる恐れがある」と語った。

(David Randall記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中首脳、台湾を議論 高市氏「良好な両岸関係が重要

ビジネス

アングル:ドル155円の攻防へ、相次ぐ円安材料とべ

ワールド

中国習主席、APEC首脳会議で多国間貿易体制の保護

ビジネス

9月住宅着工、前年比7.3%減 6カ月連続マイナス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中